第11章 幸せな家族
遥side
「えっと・・・改めて・・・この人が、父親の遼くん。」
「・・・幸希・・・です・・・」
気まずい空気が流れる。
何故か幸希は敬語。
「本当に大きくなったな。15か?」
「はい。」
「そうか。15年か。・・・敬語やめてくれ。」
「分かってますけど・・・そんな急に現れて父親って言われても・・・」
そうだよね・・・
生まれてすぐいなくなっちゃったから記憶ないもんね。
「少しずつでいいから慣れていこう?ね?」
幸希の頭を優しく撫でる。
気のせいか、少し顔が赤い。
「貴方が俺たちの前から居なくなったのは、俺たちの為だって分かってます。でも・・・」
幸希が僕の手を掴み、撫でるのを止める。
「どうして、番にしてやらなかったんですか?」
「っ!それは・・・」
「こ、幸希!?////」
急に何言ってるの?!
そんな事僕は別に気にしてないのに!
「おじさんは、あの人の事だからきっと何か考えがあるって言ってましたけど、これまでどれだけ大変な目にあったか・・・貴方は知らないですよね?!」
「遥・・・そうだったのか?」
「・・・うん。でもね、拓真と幸希が守ってくれたから大丈夫だよ!?」
「・・・幸希、ありがとうな。それから遥、すまなかった。」
遼くんが深々と頭を下げる。
それでも幸希は怒りが治まらない様子で。
「そんなんで許されると思わないでください!遥、1回死にかけた事あるんですよ!?」
「っ!?それ、ほんとか!?」
「そ、それはっ僕がっ!」
「遥は口出ししないで!正直、こんな人よりおじさんの方がいいよ!」
「幸希!」
いくらなんでも言い過ぎだよ!
僕は気がつくと幸希に手を上げていた。
・・・やっちゃった・・・僕・・・
初めて幸希を叩いた。
「っ!ごめ・・・」
幸希が鞄を持って部屋を出ていこうとする。
「幸希!待て!」
遼くんが追いかけようと立ち上がる。
「付いてくんな!クソ親父!」
そう言って勢いよく扉が閉まる。
い、今の言葉は・・・流石にまずい・・・
「りょ、遼くん?気にする必要ないよ!」
「い、今・・・親父って・・・」
「え・・・」
「俺の事親父って言った・・・」
感動してる・・・
あ、そう言えばさっき幸希が何か落としていったような・・・
紙?
───『検査結果』
あ・・・