第11章 幸せな家族
遥side
それから年月が経ち、幸希は15歳になった。
あれから15年。
僕も歳をとった。
普通の会社に就職して、事務仕事をしている。
「じゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。あ、そうだ。検査の結果、今日出ると思うから、帰ったら見せてね。」
「検査?・・・あー・・・あれね。わかった。」
第2の性別の検査だ。
僕はΩで遼くんがαだから、可能性としてはβ。
αとΩは数が少ないから確率は低い。
僕自身も幸希にはβであって欲しい。
幸希自身は性別に興味はないみたいだけど。
「待って。」
「なに?」
幸希の両頬に手を添え額をくっつける。
「気をつけてね。」
幸希から離れる。
やっぱり遼くんそっくりだ。
「・・・あの人の事考えてるでしょ。」
「っ////」
「はぁ・・・騙されてるって。俺は信じてないから。番にもされてないんでしょ。おじさんにしときなよ。」
おじさんというのは拓真の事だ。
僕と拓真は血が繋がっていないことは既に話している。
「・・・あの人はそんな人じゃないよ。きっと帰ってくる。だからほら!もう行く!遅刻!」
「・・・はいはい。ちゃんと戸締りしてね。そろそろヒートでしょ。」
「大丈夫だって。行ってらっしゃい。」
幸希を玄関先で見送って家の事を済ませる。
今日は休みだからゆっくりできる。
ピンポーン· · ·
「はーい。」
インターホンが鳴り、急いで玄関に向かう。
鍵をあけ、扉を開く。
「・・・ただいま。」
「っ!?////」
目の前には幸希そっくりの顔。
「あっ・・・りょう・・・くん・・・お・・・おかえりぃ////」
思わず抱きついてしまった。
「ひっく・・・うあぁ・・・遼くんだぁ・・・」
「ごめん、ごめん(汗)」
まるで小さい子供のようにわんわん泣いてしまった。