第11章 幸せな家族
遥side
退院してから、警察が僕の所に頻繁に尋ねてくるようになった。
今までどこに居たのか。
誰に誘拐されたのか。
子供は誰との子か。
等々。
その質問には答えなかった。
正直に答えたら遼くんが捕まっちゃう。
「もう帰ってください。思い出したくないんです。それに、子供もいるんで。」
「分かりました。また伺います。ですが・・・最後に1つ。その子は望んで出来た子ですか?」
「当たり前です!」
警察も少しずつ掴んで来てるんだ。
「遥。大丈夫か?」
「うん、平気。さてと、拓真は学校行かないと。遅刻するよ。」
「そうだな。」
僕は学校を退学した。
幸希を育てていくにはそうするしかなかった。
拓真のお母さん、おばさんには迷惑をかけられなかった。
「遥くん。私も仕事行くけど大丈夫?」
「はい。大丈夫です。心配かけてごめんなさい。」
「いいのよ。あなたも私の息子なんだから。」
ミルクの作り方、オムツの変え方、一通り教えて貰っている。
何かあった時は病院に行こう。
「幸希もミルク飲もうね。」
正直、幸希にも薬の影響が出ないか心配だった。
でも検査の結果何も無かった。
こんなの奇跡だ。