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【R18】最高の結婚

第11章 幸せな家族


遥side

退院の日になった。
幸希を抱え遼くんを病室で待つ。

「お父さん遅いね。」

「あう。」

何かあったのかな?
仕事が長引いてるとか?
それでも優先して来てくれそうだけど・・・

病室の扉が開く。

「遼く・・・拓真?」

「・・・準備出来てるか?」

「うん。でもまだ遼くんが・・・」

「・・・これ。預かってた。」

拓真が渡してきたのは白い封筒。
手紙かな?

中身を開けると「遥へ」と書いてある。
遼くんの字だ。

「ねぇ・・・これ・・・なに?」

「中身を見たが早い。俺は外に出てるから。」

ゆっくりと綺麗に折りたたまれた紙を開く。

『勝手な事をしてしまってすまない。しばらくの間、お前と距離を置こうと思う。』

え?

『これがお前と子供にとってもいい事だと思う。まだ子供は小さいし、自分の身を守るだけでも今回の事みたいになってしまう。それだけは避けたい。子供にはこんな思いをさせたくない。それに、多分、俺は警察に捕まるだろう。何年になるかは分からない。ただ、必ず子供が大きくなったらまたお前の元へ帰ってくる。約束だ。』

なに・・・これ・・・

『さよならは言わない。また会える日を楽しみにしてる。だから、その時は笑顔でおかえりって言って欲しい。』

封筒の中から通帳が出てきた。

『この金はお前らが生活出来るように用意したものだ。父親として出来ることはこれくらいしかないからな。使ってくれ。』

通帳の中は億単位の数字が。

多すぎるよ。
こんなに使えない。

「うっ・・・遼くん・・・相談してくれればよかったのに・・・ばかぁ・・・ひっく・・・」

溢れ出る涙が手紙を濡らす。
そして、最後にボヤけて見える文字。

『──愛してる。』

その言葉は遼くんが最後に言ってくれた言葉だった。
同時に抱きしめられた時の温もりが蘇る。

「僕もだよ・・・。約束だからね。」

その時まで一人前のお母さんになってみせるから。
この子も立派に育てるから。

ちゃんと帰ってきてね。
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