第11章 幸せな家族
遥side
「──っ・・・」
白い部屋。
心地よい風。
暖かい手。
ここ・・・病院・・・?
腕には点滴が。
遼くんは僕の膝を枕にして寝ている。
遼くん、無事だったんだ。
「・・・あ・・・あれ・・・」
お腹が凹んでる。
恐る恐る服を捲り上げると縫い目があった。
「え・・・どう・・・して・・・」
僕の赤ちゃんは?
どこいったの?
どうして僕は生きてるの・・・
「僕のせいだ・・・僕が自分を守れないから・・・」
「・・・はる?・・・起きたのか・・・」
「ごめんね・・・僕が悪いんだ・・・僕が・・・」
「遥・・・?」
頭の中がグルグルする。
全部、僕が弱いから。
結局、遼くんを傷つけてしまった。
赤ちゃんを・・・殺してしまった。
「おい!遥!落ち着け!」
「落ち着いてられないよ!ねぇ!赤ちゃんを優先してって言ったよね!?どうして僕が生き残ってるの?!」
「何言って・・・赤ん坊は無事だ!ちゃんと生きてる!」
「へ・・・?生きて・・・」
「あぁ。帝王切開した。それしか方法が無かったんだ。赤ん坊には何も問題はねぇよ。」
・・・よ、よかった・・・
安心で一気に涙が溢れ出た。
「うっ・・・うぁ・・・よかっ・・・ひっく・・・」
「お前はよく頑張ったよ。」
病室の扉が開き、拓真が赤ちゃんを抱えて入ってきた。
「遥、抱いてやれ。」
「拓真ぁ・・・」
「泣くなよ、子供の前でみっともない。」
「でもぉ・・・ひっく・・・本当に・・・皆・・・よかったぁ・・・」
赤ちゃんを抱き抱え顔を見る。
白くて、柔らかくて、暖かくて・・・
何より可愛い。
僕の赤ちゃん。
「ぷっくく・・・遼くんそっくり・・・」
「そうか?どっちかと言うと遥だろ。」
「遼くんだよ。大きくなったら遼くんみたいになるのかな・・・」
今物凄く幸せだ。
これからもっと幸せに3人で暮らせるんだ。
楽しみ。
「遼くん。幸せだよ。物凄く。」
「・・・俺もだ。」
名前はどうしようかな。
男の子だからかっこいい名前かな?
「うーん・・・幸希とか?普通すぎるかな?」
「いや、普通でいい。こいつには普通に生きて欲しい。幸せに。」
「そうだね。・・・よろしくね、幸希。」