第10章 愛しているから
遼side
俺の・・・せい?
何の話だ?
なんで俺は刺されてるんだ?
「僕の赤ちゃん・・・」
「遥っ・・・お前の腹はまだ大きいだろっ・・・どうしちまったんだ・・・!」
ナイフがゆっくりと腹から抜かれた事によって大量の血が溢れ出てきた。
「坂間さんっ!遥さんの目・・・変ですっ・・・」
「っ!まさか・・・っ・・・」
「ふっははっ!やっと気づいたか!」
「あの薬・・・遥に・・・」
「そういう事!けどそれだけじゃないんだよ。」
ドクンッ
体が熱くなる。
それだけでなく、頭にも激痛が。
「殺すっ・・・許さないっ!」
遥が目の前で怒りを見せた。
・・・待て・・・これはそもそも現実なのか?
目の前にいるのは本当に遥なのか?
遥の姿をした何か?
どんどん確信が持てなくなってきた。
遥が俺にこんな事するはずがない。
という事は攻撃してきてるコイツは・・・
敵だ・・・
俺は目の前の敵を倒す為に銃を構えた。
コイツを殺して、遥を救う。
俺の目的はただそれだけだ。
「・・・はは・・・分かった・・・お前は敵か。だったら・・・」
遥の姿をした敵が俺に向かってナイフを突き付け走って来る。
「坂間さんっ!?何言ってるんですか!」
「須賀野!目の前に居るやつは敵だ!騙されるな!」
「坂間さん・・・あなたの目・・・」
引き金に指を置く。
今助けるからな・・・
「いい!お前らの殺し合いが俺は見たかったんだよ!最っ高だ!」
パーンッ
銃声が響いたと同時に遥の姿をした敵が倒れる。
・・・俺は引き金を引いてない・・・
誰だ・・・
「何・・・やってるんですか・・・」
中原が血だらけになりながら吹き抜けになっている上から夜空を背に銃口を構えていた。