第10章 愛しているから
拓真side
「っ!中原さん!!」
「くっ・・・そ・・・」
中原さんは倒れたまま動けないでいた。
「はは・・・ほんとにお前は弱いな・・・」
猪田が中原さんの頭に銃口を向ける。
「最後まで使えねぇ奴だ。」
引き金に指をかける。
「猪田さん!」
扉が勢いよく開き部下の人が入って来た。
「なんだ?」
「来ました!坂間です!」
猪田は一瞬顔を惜しそうに歪めたが、すぐに笑顔に戻った。
「待ちくたびれたぞ。やっと・・・この日がっ!」
「っ!なにすっ・・・拓真っ!」
「遥!?」
遥がどこかへ連れていかれる。
中原さんへの興味はもう無くなったのか、そのままにして立ち去る。
「遥を放せ!おい!」
「これからの素晴らしい舞台に向けて準備だ。君は先に行ってろ。」
素晴らしい舞台?
なんの事だ?
「拓真・・・」
折角、坂間さん達が来てくれたっていうのに・・・
どうして・・・
こいつの目的は一体なんだ?
「遥っ!遥ー!」
ここまで来て・・・
遥はどうなるんだ・・・