第10章 愛しているから
中原side
明日、俺は姉ちゃんを連れてここを出る。
その為には鍵がいる。
姉ちゃんが繋がれている鎖と裏口の鍵。
金庫室にあったはずだ。
今夜取りいくのは難しい。
見張りが鍵の数を確認しに来る。
取るなら逃げる直前。
アイツらがいつも逃げる時間の10分前からが勝負だ。
「ふざけるな!」
?
拓真の声が聞こえた。
何があったんだ?
見に行くと遥が運ばれていた。
っ!
何があったんだ?!
隙を見て中に入る。
「拓真!何があった!?」
「中原さんっ!」
遥の様態がまた悪くなったらしい。
呼吸困難に吐血・・・
そろそろ耐えられなくなる・・・
ここまで来たらお腹の子は・・・
生きてたら奇跡としか言い様がない。
「けど、この薬が無かったらもっと酷く・・・本当にありがとうございます。明日は必ず・・・外へ。」
「・・・わかった。」
遥の為にも急がねぇと。
ここを出たら1番に姉ちゃんを坂間さんの所で匿ってもらおう。
それからはすぐここに戻る。
あの人なら伝えたらすぐここに駆けつけるだろう。