第3章 新しい生活
遼side
遥は走って車に乗ってきた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「大丈夫か?」
「え?・・・あ、はい。」
須賀野が車を急いで出す。
何とかバレていないようだ。
遥が携帯を取り出し、画面を眺めている。
そして、アドレス帳の所を開き、1人ずつ削除している。
だが、木原の名前の所で手が止まった。
「なんであんな事言ったんだ?」
「え?」
「忘れてほしいって・・・」
「・・・聞いてたんですね。僕の事忘れた方が、拓真は幸せに暮らせますよ。いつまでも僕の事を追いかけるよりも違う相手を見つけた方が良いに決まってます。」
削除ボタンに指を持っていき押した。
「・・・これで・・・いいんです・・・」
そう言いながらも目からは涙を流している。
「ごめんね・・・拓真・・・」
今まで撮ってきたであろう写真を見ながら泣く。
「・・・遥・・・」
こいつの泣き顔しか見てない。
「ぐす・・・う・・・」
遥の肩をそっと抱きしめる。
初めは驚いて、肩がビクッと震えた。
だが、俺の顔を見てさらに泣き顔になり、胸元に抱きついてきた。
「う・・・ごめんなさい。こんな事して。でも・・・今だけ・・・許してください・・・」
「いい・・・満足するまで、こうしていろ。」
「・・・ありがとうございます・・・」