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【R18】最高の結婚

第10章 愛しているから


中原side

「・・・出ないな・・・」

姉に電話をかけるが出ない。
そろそろ着いてもおかしくない。

先に中に入っておこうとドアノブに手をかける。

・・・静か過ぎる。
ここを開けると全てが終わる予感がする。

さっきまでの弾んでいた気持ちとは打って変わって、重い恐怖心が溢れていた。

いや、気のせいかもしれない。

意を消して扉を開ける。

「・・・た、ただいま・・・」

返答がない。
玄関は散らかっている。
嫌な予感は当たった。
リビングに入ると父の身体はボロボロ。
母と姉は縛られて動けない状態だった。
俺を待っていたかのように、複数人の男と猪田が。

「父・・・さん・・・母さん・・・姉ちゃん・・・」

姉は怯えていた。
体を震わせている。

「智哉・・・か・・・」

父が口を開いた。
ほとんど力が残っていないようだ。

「あははは・・・おかえり、智哉くん?」

「・・・どうしてここに・・・」

「どうして・・・ねぇ・・・見ててイライラするんだよね。家族?恋人?友人?・・・こっちの世界でよく呑気にやれるよな。」

分かってる。
この世界に入るのにはそれなりの覚悟がいることは。
だから、こんなことも覚悟していた。

けどなんで俺らなんだよ。

「・・・お願いします・・・家族を離してください。」

俺は床に頭を付け土下座をした。
こうするしかもう方法は無いんだ。

「本当に無様だね。愛?・・・そんなの・・・この世で1番いらない。」

父の胸にナイフを突き刺す。

「うぐっ!」

「父さん!!」

「ひっ!」

姉が顔を青くする。
こんなの見せてられない。

「お願いしますっ・・・家族だけはっ・・・何でもしますから・・・」

「何でも・・・ねぇ・・・いいよ。」

「っ!じゃあ!」

「ただ、こっちにも条件があるんだよね・・・全員は無理・・・かな(笑)」

そんなっ!

不敵な笑みを浮かべると父は何度も何度も刺された。
そして、母も拘束を解かれたかと思うと父の横に押さえつけられ、同じように何度も刺された。

「いやっ・・・やめてっ・・・もうやめて!!」

姉は泣き叫んでいた。
俺はその状況を止めることも、泣き叫ぶこともできなかった。

ただ見ているしかなかった。

「とも・・・や・・・お姉ちゃんを・・・頼んだ・・・」

父はそう俺に言った。
母もその言葉に頷いた。
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