• テキストサイズ

【R18】最高の結婚

第10章 愛しているから


中原side

その後はパトカーが来た為、俺達はその場を後にした。

「智哉、お前はその傷を治療してから帰れ。父さんは先に家に戻ってる。」

「分かった。・・・父さん、その・・・ごめん。」

「・・・いい。寧ろ礼を言いたい。お前が居なかったら今頃こうやって話が出来なかっただろう。ありがとう。」

「・・・うん。」

俺達は急いで引越し、しばらくは俺も父も家に帰らなかった。
それから1ヶ月経っても何も起きなかった。
坂間さんが手を打ったみたいだ。
この街は俺達の組のものになり、研究していた薬と記録を全て破棄した。
猪田も姿を消した。
どんな手を打ったのかは知らない。

俺達は普通の暮らしに戻りつつあった。

「智哉、俺の班を持たないか?」

ある日、父から提案された。

「どうして?俺はまだここに入ったばっかりなのに。」

「実は争いが終わったら抜けようと思ってたんだ。父さんだけじゃなく、他の奴らも。仲間を多く失い過ぎた。」

「・・・そっか。分かった。」

「それにお前は‪α‬だからな、父さんより上手くやれるだろう。」

「なんか、ヤクザっぽくないよね、ここ。」

「・・・そうだな。」

「・・・そこがいいんだけどね。凄く仲間思いって言うかさ。・・・俺、父さんの分まで頑張るよ。」

それから、俺は父さんの後を継いだ。
始めは何もわからず全く功績を収められなかった。
それも父さんが影で支えてくれた。

何もかもが上手く行っていた。

そう思っていた。

「・・・あ、姉ちゃん?帰りは何時になりそう?」

『 今終わったから・・・30分くらいかな。』

「分かった。俺も今終わって帰ってるから。」

『 おっけー。なるべく早めに帰るね。』

会話を終え、電話を切る。

その日は父の誕生日だった。
こんなのは柄じゃないけど、仕事の事もお世話になってるし、俺らを守ってくれてるからたまにはこういうこともしないと。

プレゼントを持って家に向かう。
その時の俺は珍しく気持ちが弾んでいた。
こんな事は初めてかもしれない。
/ 177ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp