第10章 愛しているから
遥side
「・・・え?」
頬がジンジンと痛む。
拓真が僕の前に立っていた。
「・・・死にたい・・・だと?・・・」
「・・・死にたいよ!拓真にはこんな気持ち分からないでしょ?!αだから!将来期待できるから!けど僕はそんな人達の奴隷なんだよ!?こんなの・・・耐えれない・・・」
大体どうしてΩなんてあるんだろ・・・
要らないのに・・・
これまでにαの人達に優しくされたことは?
本当に心から愛されたことは?
初めは信じてた。
でもヤったら満足。
その後はポイ。
「どうせ・・・拓真も・・・僕の事本当に愛した事ないでしょ?身体目的でしょ?いいよ、正直に言って。ほら、今なら僕無防備だよ?犯したら?ストレス発散にもなるでしょ?」
乱れた服を脱いで拓真の前に身体を差し出す。
こうやって身体を売る方が僕にはあってるんだ。
「馬鹿かよ・・・」
拓真は僕を強く抱き締め肩に顔を埋めてきた。
震えている?
あれ、肩がジワジワと温かくなってきた。
・・・泣いてるの?
「そんな事ない。今までに一度もない。俺は本当に心からお前を愛してるよ。今でも。だからお前の泣き叫ぶ声聴いて心が苦しむんだ。自分の体調なんて忘れるくらいに心が痛むんだ。だから死にたいなんて言わないでくれ・・・」
「・・・でも僕の事さっき避けてた・・・」
「あれは・・・俺が悪いんだ。お前は悪くないのにアイツらへの怒りをお前に当ててしまった。ごめん。」
「・・・そう・・・だったんだ。」
まだ震えてる。
こんな拓真は珍しい。
きっと怖いんだ。
こんな事されて。
拓真は何も悪くないのに。
「それに坂間さんも・・・お前の事を本当に愛していると思うぞ。じゃなきゃ、死ぬ気で守ったりしねぇだろ?大事にされてるじゃねぇか。あんな人、そんなにいないと思うぜ。充分幸せものじゃねぇか。俺もお前が大事にされてて幸せだよ。」
「拓真・・・ありがとう・・・」
「だから、死にたいなんて言わないでくれ。もう少し・・・頑張ろう・・・きっと・・・助けに来てくれる・・・」
拓真の力が抜けていく。
耳元ではスースーと寝息を立てている。
「うん、そうだね。ごめんね。少し休もっか・・・おやすみ。」
拓真の身体を抱きしめ慰めるように頭を撫でた。