第10章 愛しているから
遼side
足に僅かな痛みを感じ目が覚めた。
俺の部屋だ。
「遥っ・・・」
「おはようございます。坂間さん。」
須賀野が飲み物をトレーに乗せて入ってきた。
「おい、あれから何日経った?」
「3日です。」
「3日も俺は寝てたのか?」
「はい。仕方がないと思います。そんな怪我では。」
身体を見ると右足を固定されている状態だった。
さっきの痛みはこれか。
傷の部分を擦る。
「まだ痛みますか?」
「・・・少し・・・だが、痛いなんて言ってられねぇよな。遥はもっと怖い目に合ってるはずだ。早く行かねぇと。」
身体に掛っている布団を剥がし、床に足を着く。
「坂間さん、何をしてるんですか?」
「遥を助けに行く。全員集めろ。」
立ち上がろうと踏ん張った瞬間。
「っ!?」
力が入らず地面に這い蹲るように転けてしまった。
「大丈夫ですか?!」
「・・・なんだ・・・今の・・・」
自分の足じゃないみたいだ。
ピクリとも動かない。
「まだ無理です。立つ事さえ困難な状態です。」
「・・・じゃあ、いつになるんだよ・・・」
「恐らく・・・早くても2ヶ月かと。」
駄目だ。
それじゃ間に合わない。
出産予定日間近だって言うのに・・・
「しかし、俺はあなたならやれると思いますよ。あくまでもこれは平均的な数値です。あなたなら2ヶ月もかからないかと。そう思います。」
「須賀野・・・」
「ここからはあなた次第です。俺達はどこまでもあなたに着いて行きます。」
須賀野が俺をベッドに上げ直し、薬を渡す。
痛み止めか。
「・・・命令をください。」
一気に薬を飲み込み、須賀野に口を開く。
「2ヶ月も時間はかけられない。俺が回復するまでに遥の居場所、敵の数、敷地内の構造、敵側の情報に関すること全て調べ上げろ。仲間の使い方はお前に任せる。いいな。」
「了解です。」