第10章 愛しているから
遥side
「どうしよどうしよ。このままじゃ拓真が・・・」
「大丈夫だって。すぐ・・・治る。」
「けど顔色悪いよ!?やっぱり薬が・・・僕お水貰ってくる。」
「行くな。ここに居てくれ。」
拓真が腕を掴み止める。
その腕には力がこもっていない。
今にも死にそうな顔をしている。
やっぱりほっとけないよ。
僕は拓真の手を優しく解き、扉の前に立つ。
「あ、あの!お水を・・・ください!」
「遥、無駄だ。聞いてもらえない。」
「お願いします!拓真を・・・拓真を助けてください!」
扉が開いた。
良かった聞いてもらえたんだ!
「あの、お水をっ!」
「いいが条件がある。」
扉の前で見張りをしていた男の人2人が中に入ってきた。
「なんでも聞きます!だからお願いします!お水をください!」
「いいだろう。」
男の人がペットボトルごと渡してくれた。
「ありがとうございます!」
急いで拓真の所へ向かおうと駆け出す。
「おいおい待てよ。」
腕を掴まれる。
力が強い。
痛い。
「条件が先だ。」
「待ってください!拓真が大変なんです!先に拓真を!」
「駄目だ。だったらこれは没収だな。」
「あ!返してください!」
持っていたボトルを取り上げられた。
「だったら今すぐ服を脱げ。」
「え?」
「欲しいんだろ?早くしろ。じゃねぇとあいつ死ぬぞ?」
「うっ・・・卑怯です・・・」
「あ?舐めてんのか?」
「ほら、さっさっと脱げよ。」
そんなことしたくない。
でも言う事聞かないと拓真が・・・
「遥・・・やめろ・・・もう見たくねぇんだ。」
ごめんね。
僕は服を脱いだ。
「これでいいですか?」
「ははは、まじかよ・・・」
「ダメに決まってんだろ・・・もっと楽しい事しようぜ?」
「っ!」
押し倒された。
こんな事になるのは分かっていた。
どうせこんな事だろうと覚悟はしていた。
やっぱりΩだと、こういう扱いされるのが当たり前なんだ。