第10章 愛しているから
拓真side
「遥・・・」
遥の頭を撫でながら身体を暖める。
あれから目を覚まさない。
どのくらい経った?
もう何時間こうしてる?
「・・・起きてくれ・・・」
俺の体も少し重くなってきた。
熱でも出たのだろうか。
手が震えている。
「・・・うっ・・・まただ・・・」
胃から上に登ってくるこの感じ・・・
まともな飯も食ってないのに吐き気がする。
遥の頭を膝から下ろし少し離れたところに戻す。
「うえぇ・・・はぁ・・・はぁ・・・なんだよこれ・・・」
身体がだるくなって力が抜ける。
「っ!」
背後に気配を感じる。
「・・・の・・・い・・・しん・・・え・・・」
「?!」
この声は遥だ。
目が覚めたのか。
だが、何を言ってるのかは分からない。
「しん・・・え・・・」
「遥っ・・・うっ!?」
目の前にいるのは間違いなく遥だ。
だが、俺の上に乗り首を締めている。
「うぐ・・・は・・・る・・・!」
「・・・死んじゃえ・・・あんたのせいだ。死んじゃえ。」
「なに・・・を・・・」
苦しい。
息が出来ない。
遥の眼には光がない。
死んだ目だ。
「はるっ・・・かはっ・・・」
俺が守れなかったからか?
だから憎んでるのか?
こんなに憎いのか?
「・・・ごめん・・・な・・・守れなくて・・・ごめんな・・・」
「死んじゃえ・・・死んじゃえ死んじゃえ!」
「はる・・・おれは・・・まだ愛してるぞ・・・ごめんな・・・頼りない・・・男で・・・」
「っ!・・・なに・・・言って・・・うっ・・・あれ、僕はなにやって・・・」
遥が俺の首から手を離した。
「ゲホッゲホッ!はぁ・・・はぁ・・・」
「拓真っ!僕は何を・・・」
「・・・遥・・・大丈夫か?・・・」
「僕は何ともないよ!?それより拓真は!?」
「俺も大丈夫だ。・・・うっ・・・」
また吐き気が・・・
「拓真!?」
遥が背中を摩る。
「全然大丈夫じゃないじゃん!無理しないでよ・・・」
「・・・ごめんな・・・」
「拓真は悪くないよ・・・僕の方が謝らなきゃだよ・・・ごめんね。あんな事して。」
「目覚ましてくれたからいいよ。」
俺の身体・・・どうしちまったんだ・・・