第9章 信じるべきは・・・
拓真side
遥がやっと解放され、俺の前で倒れている。
近づきたいが、繋がれていて動けない。
アイツら、遥をそのままにして行きやがった。
裸のままじゃ風邪をひく。
「遥・・・」
呼びかけても返事がない。
あの日と全く一緒だ。
せめて何か掛けてやらないと・・・
けどこの状態じゃ何も出来ねぇ・・・
どうしたら・・・
悩んでいると扉が急に開いた。
入ってきたのは猪田と・・・
確かあの人は・・・
「中原さん?どうして・・・」
「中原、分かってるな。」
「はい。」
中原さんが何かを持って遥に近づいてくる。
注射器だ。
「何する気ですか!?」
「・・・俺も守らなければならない奴がいるんだ。」
「やめろ!それだけはやめてくれ!」
「・・・遥・・・すまない。」
小声でそう呟いた。
そして、注射針を遥の腕に刺した。
「っ!あなた・・・俺達を助けてくれようとしたじゃないですか!」
それでも中原さんは無視をして、薬を注入していく。
「・・・一体・・・何を信じたらいいんですか?・・・」
「・・・俺を信じちゃダメだ。遥にも伝えておいてくれ。」
「待ってください!一体何の薬なんですか!?」
「俺にも分からない。」
俺の拘束を解いて部屋を出ていってしまった。
あの人は一体どっちの見方なんだ・・・