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【R18】最高の結婚

第9章 信じるべきは・・・


中原side

俺だってあんなことしたくない。
愛する人を自分の手で傷付け苦しめるなんて。

けど・・・

「智哉。そんな暗い顔してどうかしたの?」

「・・・ううん、何でもないよ。姉ちゃん。」

この建物の1番奥の部屋。
ここには俺の姉が監禁されている。

特に悪い事をした訳でもない。
この組織とは無関係。
人質としてここに連れてこられた。
たった一人の家族だ。

「嘘つき。何もなかったって顔じゃないでしょ?・・・アイツらに何されたの?」

姉にはお見通しだ。

「俺は何もされてない。」

「・・・もしかして、遥って子のこと?」

「・・・うん。前に話したΩの奴。」

「何したの?」

姉が俺の元に近づき手を握る。
さっきこの手で、遥を苦しめた。
手が震える。

「智哉、答えて。私はあなたの味方よ。」

「アイツに・・・命令されたんだ。注射器を渡されて、遥に打てって。初めは躊躇した。けど、その後に姉ちゃんを殺すって脅されて・・・言う通りにするしかなかった。」

「そう・・・」

「遥の事は好きなんだ。本気で。けど、家族をこれ以上失う方が怖い。」

両親はアイツに殺された。
残ったのは俺と姉だけ。

「智哉、辛かったよね。」

「・・・うん。」

「ごめんね、私が弱いせいで。足でまといになってるよね。」

「それは違う。俺が弱いだけだ。この仕事をしてるのもこういう事を覚悟した上だ。」

「・・・守ってくれてありがとうね。凄く嬉しいよ。でもね、好きな人を自分の手で殺めちゃダメ。そこは私じゃなくて、その子を優先して。」

「でも・・・それじゃ・・・」

姉が抱きつく。
懐かしい。
暖かい。

こんな気持ちはいつぶりだろう。

「姉ちゃんは大丈夫!だってアンタの姉だよ?・・・気にせず自由に生きな。じゃないと姉ちゃん心苦しいよ。」

「・・・うん・・・」

何度も逃げ出そうと思った。
けど、俺の力だけじゃ敵わない。

俺はどうしても姉の前だと弱くなっちまう。
普段、強がってるだけだ。
本当は弱いくせに。
大切な人1人守れないくせに。

「・・・諦めちゃ駄目よ。初恋なんでしょ。」
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