第9章 信じるべきは・・・
遥side
「妊夫の身体ってこんなエロいんだな(笑)」
腕を引っ張られ無理やりキスをされる。
舌がヌルっと入ってきて唇から唾液が流れ出てくる。
気持ち悪い・・・
好きでもない人達とこんな事・・・
もう1人の人が僕の後ろに回り、唇を肌に付けながら身体を触っていく。
「Ωの臭いだ・・・久しぶりだな。」
「好きなだけ遊んでいいって許可貰ったからな。今日は楽しませてもらうぞ、Ωちゃん。」
「ひっ!」
あの時の恐怖が蘇る。
学校の部活が遅くなって、帰り道は暗くてギリギリ見える程だった。
拓真は体調を崩しその日は休みだった為、1人で帰った。
「遅くなっちゃった・・・拓真達、心配してるかな。」
ドクンッ
こんな時にっ!?
発情期だった。
急いで帰ろうと走った。
「うわっ!?」
暗くて何も見えず、誰かにぶつかった。
「す、すみません!見えなくて!」
「餓鬼・・・お前Ωか・・・」
「すっげぇフェロモン出しちゃって。」
っ!!
逃げなきゃ・・・
「待てよ。発情期なんだろ?俺達が相手してやるよ。」
「け、結構です!彼氏いるんで!」
「今はその彼氏いないだろ?だからさぁ。」
「離してください!やめっんぐ!?」
「騒いでもらったら困る。」
口を塞がれたまま目立たない所に連れていかれた。
そこはとても汚くて、ゴミが幾つか置いてあった。
「楽しもうぜ?Ωちゃん?」
「っ!!」
その日、僕は初めて経験した。
キスもセックスも妊娠も・・・
自分のΩという性への恐怖も・・・
気がついたら既に朝になってて、拓真が汗を流しながら僕を見つけてくれた。
すぐに病院に行き、治療を受けた。
精神的ショックで何日も通院した。
『ごめんな。俺がいたらこんな事にはならなかったのに。』
拓真は生きる気力を失っていた僕にひたすら謝り続けた。
そして、毎日付いて来てくれて回復へと導いてくれた。
「それじゃ俺から、頂きます!」
「っ!?」
この感覚もあの日を思い出す。
怖い・・・痛い・・・
誰か・・・助けて・・・
誰かっ・・・
僕は突かれながらも必死に拓真に手を伸ばした。
「ひぅ・・・た・・・くま・・・////」
「クソ・・・止めてくれ・・・もう・・・」