第9章 信じるべきは・・・
遥side
「遥、もう少しだ!」
「うん!」
息を切らしながら拓真が手を引っ張ってくれる。
正面玄関からだと、見張りがいる可能性がある。
僕達は裏口から出ることにした。
「うっ!」
「拓真!?」
急に足を止め、拓真は嘔吐した。
「どうしたの?!大丈夫!?」
「あぁ・・・大じょ・・・うっ・・・」
顔色が悪い。
どうしたんだろう。
「遥・・・お前先に行け。」
「嫌だ!一緒に行く!」
拓真と肩を組み体を支える。
けど、拓真の体は全く力が入っておらず、2人とも倒れてしまった。
「遥、無理だ。俺はアイツらに見たことない薬を打たれた。もう動けねぇ。お前だけでも逃げろ。」
「そんな・・・そんな事出来ないよ!」
「遥・・・」
再び拓真を支える。
さっきよりは上手く支えれた。
このままゆっくり歩けば・・・
「いやぁ素晴らしい。愛ってほんとに素晴らしい。」
後ろから聞いたことのある声が聞こえた。
「遥!行け!」
拓真が僕を突き放す。
来た・・・
アイツだ。
「けど、それを壊すのが何よりも楽しい!」
拓真が髪を引っ張られ捕まった。
「いっ!」
「拓真!」
「に・・・げろ・・・早くっ!」
出来ないよ・・・
拓真を置いていけない。
拓真を助けたかったからコイツらに付いてきたんだ。
「離してください。お願いします。僕はどうなってもいいので、拓真とこの子を見逃してください。」
「ほう。」
「バカ!何言ってんだ!」
「面白い。付いてこい。」
拓真を離してくれた。
僕は言う通りにその人に付いて行く。
「お前・・・本当に馬鹿じゃねぇのか?」
拓真のその言葉、間違ってないよ。
でも君を助けるにはこれしかないんだ。