第9章 信じるべきは・・・
遥side
「拓真、僕の腰元にナイフがあるはずなんだ。それでこの縄を切ろう。」
「いつの間にそんなもの・・・わかった。」
拓真に背を向けナイフを取ってもらう。
遼君から貰ったもの。
念の為に持ってきてよかった。
僕の縄を先に切ってもらい、その後拓真の縄を解いた。
「問題はここをどう出るかだな。」
「あそこ鍵閉まってるの?」
「いつもは閉めてある。まぁ、身体が上手く動かず試しに出ようとした事ねぇから油断してるかもな。」
「じゃあ試しに開けてみる?」
「そうだな。俺がやる。」
拓真が扉に手をかけゆっくりと動かす。
ガタッ!!
開いた!
拓真が「やった!」という顔でこちらを見て頷いた。
廊下は灯りが無く真っ暗だ。
外には見張りが見当たらない。
いくら何でも緩過ぎない?
監視カメラは当然あると考えたとしてもあまりにも緩すぎる。
「・・・拓真・・・これって罠とかじゃないよね?いくら何でも・・・」
「かもしれないな。けど、チャンスでもある。見られてるのももちろん承知の上で脱走してやろう。俺らも舐められたもんだ。見返してやろう。」
「・・・うん。」
このまま出ても平気かな?
何か起こる予感しかしない。
でも拓真が言ったようにこれはチャンスでもある。
行くしかない。
拓真が先に出てリードしてくれる。
誰もいなかったら僕を呼ぶ。
「何か武器が欲しいよな。このナイフだけじゃ危険だ。」
「でもどこにあるのか分からないよ。」
「言っただろ?地図はほぼ頭に入ってる。武器庫はこの角を右に行って突き当たりを左だ。少し距離はあるが・・・」
「僕も行く。」
「・・・そうだな。1人にする方が落ち着かねぇからな。用心して行くぞ。」