第9章 信じるべきは・・・
遥side
「遥・・・駄目だ・・・」
「遼君・・・僕・・・」
遼君が押さえつけられながらも必死に抵抗していた。
その度に足の傷が開き出血している。
このまま須賀野さん達の助けを待ってても遼君の血は止まらず出血死してしまうかもしれない。
そんなの見てられない。
「木原拓真・・・」
「「っ!!」」
どうしてその名前を・・・っ!
「彼、生きてるよ。ただ・・・」
1人の部下と思われる男の人が写真を渡している。
その写真を僕の前に投げ捨てた。
「こんな状況だけどね。」
その写真に写っていたのは、ボロボロになっている拓真の姿だった。
頭から血を流して暴行を受けている写真もある。
よく見ると、あの時撃たれたと思われる銃の傷が。
「拓真っ!!どうしてこんなこと!」
「どうして・・・君に関わっているからだろ。」
「拓真は関係ないです!拓真を返してください!」
「だったらこっちに来い。そしたら考えてやる。」
「っ!罠だ!遥!うぐっ」
分かってる。
全部僕が狙いだってことは分かってる。
けど、家族を・・・親友を見捨てられない。
「分かりました。言うこと聞きます。だから、遼君を離してください。怪我してるんです。」
「いいだろう。」
「・・・遥・・・行かないでくれ。」
「ごめんね、遼君。でもこの選択肢しかないんだ。」
後ろを向き、遼君に笑顔を見せる。
「・・・さよなら。大好きだったよ。それから、僕はあなたと居て、し・・・っ!」
後ろから睡眠薬を嗅がされ、倒れてしまった。
その瞬間に見えた遼君の顔は悲しみと怒りが混ざった涙で濡れていた。