第9章 信じるべきは・・・
遥side
クローゼットの服を掻き分けると扉が出てくる。
そこは遼君が教えてくれた隠れ部屋。
隠れ部屋に入り身を潜める。
ここに居てもいずれは見つかるだろう。
さっき外に見えた人数は10人ほど。
けど、この家の広さで一人一人が細かく探したとしたら見つかってしまう可能性は高い。
それに加え相手はヤクザ。
僕はナイフを持った手の震えを抑え深呼吸する。
その時は僕が殺らなきゃ。
この子が殺られる。
部屋に誰か入ってきた。
1人?
いや、2人だ。
部屋を荒らす音が聞こえる。
ベッドもひっくり返してる。
「居ねぇな。やっぱ留守か?」
「そんなはずは無い。1人で行動する訳がないだろ。それに坂間と一緒には居なかった。」
「だとしたら、あとは・・・」
クローゼットが開く。
「ここか。」
まずい。
2人は無理だ。
落ち着け。
まだ僕の場所はバレてない。
「うーん。居ないな。」
「隣の部屋行くぞ。」
良かった。
危なかった。
ホッとし力が抜けた瞬間、足が壁に当たり音を鳴らしてしまった。
一瞬にして汗が吹き出る。
「・・・なるほどな・・・ここの奥・・・」
バレた。
けど、気配があるのは1人だ。
・・・だったらやれる。
ゆっくりと扉が開く。
今だっ!
僕は躊躇無く、ナイフを男の人の腹に刺した。