第9章 信じるべきは・・・
遥side
「遼君、おかえりなさい。」
「ただいま。身体は?」
「何ともないよ。」
遼君が帰ってくると必ずハグをして挨拶を交わす。
僕達の距離が離れていく度に、僕のお腹が大きくなっているのが実感出来る。
「急いで飯作るからな。」
「いつもありがとう。」
遼君が家事をしてくれている。
僕はただ見ているだけ。
何だか、二人暮らしみたい。
「遥、籍はいつ入れに行くか?」
「そうだな・・・この子が産まれるまではまだかな。正直、余裕がないかも。今はこの子を守る事で精一杯。」
「分かった。」
「・・・楽しみ。早くこの子と3人で暮らしたい。」
「俺も楽しみだ。その為にも頑張らないとな。」
「僕も頑張るよ。」
男の子かな?
それとも女の子?
名前は何にしよう。
最近は2人でこんな事ばっかり話してる。
早く産まれてきて欲しい。
そして、3人で暮らしたい。
大きくなったお腹を撫でながらいつも話しかける。
ここに確かにいるんだ。
「守ってあげるからね。」
それに応えたかのように赤ちゃんがお腹を蹴った。
「っ!今動いた!遼君、動いたよ!!」
「本当か!?・・・もう少しだな・・・」
「うん、あと少しだよ。」