第9章 信じるべきは・・・
遥side
もう・・・夕方?
寝すぎたな。
「遥・・・いるか?」
この声は・・・中原さん?
どうしてここに。
ここを知ってる人は遼君と須賀野さんとその手下の人達だって聞いたのに。
見張りの人達は?
窓の外を見てみる。
何も問題は無さそうに玄関に立ってる。
「・・・中原・・・さん?」
「いたのか。少し、話がしたい。入ってもいいか?」
中原さんだ。
何も心配ないに決まってる。
「・・・いいですよ。」
念の為、ナイフを持っておく事に。
信じてはいたい。
でも、何が起こるかわからない。
中原さんがゆっくりと入ってくる。
「久しぶりだな・・・遥。」
「そうですね・・・」
あの日以来だ。
中原さんに無理やりキスされてから上手く話せなかった。
・・・よく見たらいつもと服装が違うような。
「すまなかった!急にあんなことして!」
「・・・えっと・・・もう気にしてないので・・・」
わざわざ謝りに来たんだ・・・
「そうか・・・よかった。」
やっぱり悪い人じゃないよ。
優しくてしっかりした人だよ。
「お腹・・・大きいな。」
「あ、はい。実は妊娠してて。」
「そう・・・なのか・・・」
中原さんの顔が暗くなった。
どうかしたのかな?
具合でも悪いのかな?
「遥・・・その・・・こんな事は言いたくなかったんだが・・・」
急に両手を握られる。
「な、中原さん!?////」
「今すぐここから離れろ。まだ遅くない。それから子供も下ろすんだ。」
「なに、言って・・・前もそんな事言ってましたよね・・・どうして・・・」
「遥、頼む。お前を守るためなんだ。」
「・・・中原さんは何を知ってるんですか?どうしてそこまで?」
「・・・理由はそのうち話す。だから、その前に・・・」
「嫌です。理由が言えないなら嫌です。僕はやっと幸せに・・・」
「遥・・・分かった。俺は忠告した。あとはお前次第だ。もう俺には何も出来ない。」
「中原さんの言ってる事が全然分かりません。何が目的なんですか?」
「・・・そのうち・・・わかる。」
前にもそう言ってはぐらかされた。
そのうちっていつなの?
「俺はただお前を守りたいだけなんだ。」
そう言って出て行ってしまった。