第2章 How are you、Girl
「任せとけって」
『じゃあお二人共、ごゆっくり』
-たんっ-
「「!?」」
「………ん?姉君、今どっから出た?」
「窓から」
「あのクソ姉貴!いつも危ないっつってんのに!」
どうやらお転婆具合は増してる様で。
※※※
「え?チェリーまだ戻ってないんですか?もう一日は経過してますよ?」
「あぁ…今ヤミと紅蓮からフエゴレオンが調査に向かってくれている」
「そう…ですか」
「おや、珍しいね。取り乱さないなんて」
「そりゃそうですよ」
俺だっていつまでも餓鬼じゃないし二人の強さは折り紙付き。勿論チェリーだってそうだ。
「そうだ、団長!この報告書チェリーから書き直せって言われてるものなんですけど」
「あー!どれどれ?」
どう書き直したらいいか分からなかったから事細かに擬音などを入れてみた訳だが。
「…うん…シェリー、君には今度から報告書の作業は遠慮させてもらうよ…」
「えっ?」
※※※
「おいおいおいおい…何なのコレ。超さみぃんだけど」
比較的温かい地域は豪雪地帯となり辿り着いた町を覆う氷の城。町の外には賊であろう人間の横たわった姿。死んではいないけど少し間違えれば死ぬだろう。
「ヤミ…さん」
「フエゴレオンさんまで…!」
「おー、お前等何で氷の中に居て生きてんだよ。つーかお転婆姫さんどーした」
聞けば賊は結構な人数でそれなりの手練も多数居るらしい。賊の目的はこの町の魔法具らしいが、この町に着いた時にはもう既に襲われたすぐ後で町人は傷だらけ。油断した此奴等も致命傷を負わされ、この氷の城はチェリーの防御魔法と回復魔法を併せたものだと言う。
「チェリーは?」
「つい先程までここで応戦していたのですが…」
「チェリー様のお力に恐怖したみたいで子供を人質にして逃走を図り…」
「あー、追って行ったんだな」
「はい…我々が居ながら申し訳ありません…」
此奴等は腐っても五等上級魔法騎士。等級はチェリーより一応上だが…こうもあっさり致命傷を負わされるって事は敵も強いっちゃあ強い。こんな広範囲の防御魔法と回復魔法をしながら敵との応戦。チェリーの実力はもう中級じゃ収まらねぇって事か。