第7章 In the fog、LittleLady
「起きたか」
と頭上から降って来る声に身体を起こす。どうやら眠ってしまっていたみた………眠っ!?
-バッ-
『アタシどのくらい眠ってた!?』
「30分程だ」
『何だ30分か…』
良かっ………待って良くない。
"おはようございます、主"
『うん…おはよ…』
「身体の方は大事ないか?」
『あ…え、と………うん、大丈夫…ありがと』
着替え終わって、さぁ帰ろうとローブを羽織った所から記憶が無い。恐らく倒れてしまったんだろう。放置しといてくれても良かったのにこの人は面倒見が良いから介抱に巻き込まれって言うか巻き込んだのはアタシだけど。何か枕代わりに膝まで貸してもらってたみたいだし一体アタシは何してんの。
「チェリー?」
気にしない様にはしてたけど、さっきから失礼な事しかしてないんだよね?メレオさんと間違えて裸で抱き着いてしまうわ膝枕してもらうわ…何大胆な事してるのアタシ。あーだめだめだめ。気にしたら負け。羞恥を持ったら負け…
-ボッ-
と顔の中心に熱が集まる。あ、ちょ…やば。
「まだ具合悪…」
『!!!だっ!だだだだ大丈夫!!!』
スっと伸びてきた指先から逃げる様に隣に控えていたポチに抱き着いてふわふわで冷たい毛並みに顔を埋める。じゅわーっと音が立った気がするくらい頬の熱が冷めていく。
『よーし目が覚めた。仕事に戻らなきゃ』
ペチペチと自分の頬を軽く叩いて通常サイズのポチに飛び乗る。
『ほら乗って』
「いや、しかし…」
『迷惑かけたお詫び。他の人に見られる訳にはいかないから麓までだけど、獣と戦わなくて済むし時短になるよ』
※※※
『どう?なかなかスリリングで楽しかったでしょ?』
「あ、あぁ…」
楽しいかどうかは分からないが谷を飛び越えたり崖を真っ逆さまに降りたりとスリルはあったと思うが、それよりも吃驚したのは終始チェリーは声をあげて笑っていたと言う事。普通の女子は怖がるところでは無いのだろうか?これも姉上と旅をしたせいで姉上の野生的な部分が移ったせいなのか。
「………すまない」
『ん?どうしたの?』
「此方の話だ」
『さっきから変なの』
不思議そうに首を傾げながらフェンリルの頭を撫でる。