第6章 Dancing on ice、LittleLady
と背後に向かって喋りかけるけど返答は無い。多分下で敵の幹部らしき女と姉君が斬り合ってるのを固唾を飲んで見ている。
「手出し無用だぜ?なーんか顔見知りみたいで因縁あるっぽくて助太刀しようとしたら俺まで攻撃受けたから」
直接攻撃を受けた訳じゃない。だが強敵と戦ってる姉君の魔力が研ぎ澄まされて高まって近付きすぎると自らも凍ってしまう。これは…双子って言うか長年一緒に居たから何となくの勘なんだけど…まるで邪魔するなと言わんばかりに姉君とは別の力が働いてる…気がする。
-キィン-
「チッ…剣術と体術は互角か…やるな小娘」
『オネエさんこそ』
いやいや剣術と体術が姉君と互角って頭オカシイぞ、あの女。
「前回は…半年前だったか」
『?』
「ハート王国を侵略しようとしたあの日…あの時は獅子の様な女、炎の魔導士にワタクシの魔法は完敗したが………小娘の氷魔法じゃワタクシの鉄魔法は溶かせまい」
『あー!』
一同「!?」
『何処かで見た事あるなーって思ってたんだけど思い出した!あの時メレオさんにボッコボコにやられた………オバサン』
ピキっと何かが割れた様な音がした…気がした。
※※※
-ゴゴゴゴゴ…-
「おいおい、こりゃどーなってやがる」
異常な魔力に焦燥感を覚えた瞬間に俺達が戦ってた幹部は煙に巻いて一瞬で逃走。手傷は負わせたが逃げ足は早かったから仕方無く戻ればこの有様。姫さんが戦ってた女幹部がまるで我を忘れたかの様に魔力を暴走させ、容易に近付く事は出来ない。下手すりゃこっちがバラバラになりそうな程。
だがその渦中にいるチェリーは焦る様子も無く、いつも通り平然としていた。
「いや…何か姉君があのオバサンを怒らせたみたいで」
-ゴゴゴゴゴ-
「良かろう。小娘、貴様はワタクシの最大の魔法で葬ってやろう」
『さっきまでは"此処はワタクシが引き受けます"とかお上品だったのに乱暴な言葉遣い』
ぷっとからかう様に噴き出して更に相手を挑発する。
「鉄創成魔法"鉄血の鋼虎(メタルタイガー)"」
『鉄なのに鋼なの?変なのーってアタシも人の事言えないけどさ』
そう言うと、まるでそこにナニか居ると思わせる様に宙を撫でる。
『どうかしら?お腹空いてる?』
一同「?」