第6章 Dancing on ice、LittleLady
「痛って!?本気で踏み台にする事無いだろー」
『ぼさっとしてるとアンタの活躍の場は無いわよ!』
「ったく…相変わらずヤンチャだな。まぁ………男として双子の片割れとして負ける訳にはいかねぇよな」
※※※
「っ本当にもー姫さん頭オカシイと思わね?」
「そうかな?まぁこの足場は悪いけど」
「それプラス俺は重力魔法効いてるからな」
凍った地面はツルツルと滑る。木々を足場にして何とか敵を退けては居るが余程魔力が強いのか木々も凍りつつある。それよりも気になるのは…魔法の属性。普通は一人一属性のハズだが…彼女の場合重力と氷…二属性。
「………アイツは」
「?」
「ちと特殊らしい」
「特殊?」
「憑依魔法って言って他人の魔法を奪って自分のモノに出来る」
魔法を奪われた人間は魔力こそ無くなりはしないが二度と魔法を使えなくなるし、また奪わずとも魔法や魔力の貸し借りも可能らしい。
「極一部しか知らない情報だし俺もシェリーに聞くまでは氷使いだと………」
「「「ぐぁあああっ」」」
「「!?」」
カツンと踵の高い靴の音を鳴らしながら優雅に氷上を歩くのは噂のチェリー副団長。氷の剣の鋒から滴る鮮血を振り落とすと胸元で優雅に構え直す。
『あまり手荒な事はしたくありません。どうか退いては頂けませんか?』
「ふざけるな!我々は…「やめなさい」…!ミレイユ様!」
「その娘には貴方達三下が束になっても敵いません」
『………』
「しかし!」
·「下がりなさい。ここはワタクシが引き受けます」
ミレイユと呼ばれた女性は恐らく敵将の指揮官あたりなのだろう。桁外れに高い魔力はチェリー副団長より上な気がする。
『………ヤミ、ウィリアム』
「「!」」
『北東452m。もう一人指揮官が居る。任せていいかしら?』
「…やっぱバレてたか。姫さんは?」
『ここはアタシ一人で充分。巻き込まれないうちに早く』
※※※
俺にとって姉君は尊敬すべき越えたい存在であり、家族だけど守りたい女性の一人でもある。姉君姉君って慕って甘えてはいるけど頼って欲しいし甘えて欲しいと思ってる。姉君は姉君であって姉君では無い。
「よー。随分と遅い助っ人だな。もう撤退に追い込んでるよ」