第6章 Dancing on ice、LittleLady
「支える側か…ならば御両親の様に魔法帝直属は?」
『親と同じ道を辿るつもりも無い。貴方なら話は別だけど』
あぁ美しい、と思った。陰りのないその真っ直ぐな瞳が。
「そうか…ならば副団長は?勿論この団の」
『上が貴方なら喜んで』
肩を竦めて小さく笑うと深々と頭を下げる。
※※※
とまぁこの度、灰色の幻鹿の副団長に就任した訳だが。だからと言って特に何か変わる訳でも無い。強いて言うならちょっと書類の仕事が増えただとか指揮する事が増えただとか団の先輩達におちょくられたりとか。
「副団長さーん。ちょっとサボってもいいですかー?」
「副団長さーん。俺のおやつどこですか?」
『………ヤミ。シェリー』
「「お?」」
『これ逝って来て』
と言ったアタシの顔は多分凄かったんだろう。シェリーは兎も角、ヤミまで顔を青くして書類を受け取ると一目散に部屋から出て行く。
「………珈琲でも入れてきましょうか?」
『あーうん、お願い』
この子…ウィリアムは出来る子だと思う。貴族出でこれだけの気が使えるのは凄いといつも感心させられる。
-バタバタ-
「お砂糖とミルクは?」
『いらな…』
-バンッ-
『「!」』
「ふ、く団ちょ…!」
任務の報告書や依頼書の書類を纏めていたら血相を変えて部屋に飛び込んで来た部下(だけど先輩)に目を見張る。
『どうしました?』
「敵襲です!敵はダイヤモンド王国…数は千を超えてます!発見した我が団が迎え撃つ準備をしてます」
『分かりました。至急通信魔法者に連絡して各団に報告を』
「はっ!チェリー副団長は!?」
入れてもらった熱い珈琲を一気に飲み干すと喉が熱くなる。
『アタシもすぐ向かいます。援軍が来る頃には…片付いてるでしょうが』
※※※
副団長に就任した姉君をヤミと一緒になってからかってたら凄い形相で任務の書類を叩き付けられた。流石にやりすぎたーって反省しながら向かってたら通り縋った同じ団の先輩にダイヤモンド王国からの敵襲がこちらに向かってる事を知らされ急いで現場向かう。
「どうする?半分に割るか?」
「メンドくせぇー…取り敢えず浮いてる奴等下に…」
-ヌッ…-
「「!?」」