第6章 Dancing on ice、LittleLady
アタシがクローバー王国に戻って来てひと月。勝手な行動は慎めと父からの謹慎は昨日で終わり。メレオさんはそのまま旅に出たっきり戻ってないみたいだけど今頃何処で何をしてるのだろうか。アタシももう一度旅に出たいなぁ。今度はもっと遠く…色んな国を回って世界を知りたい。
『♪』
鼻歌を歌いながら仕事用の衣装に着替えて団の象徴であるローブを羽織る。旅に出てから一度も切らなかった髪の毛は適当に伸びてるのが邪魔で後頭部で団子に結わえる。
『………あれ?』
仕事用の衣装が胸元とお尻が締まらない。
『え?やだ太った?』
まぁこれだけ動かずに書類仕事ばかりして食っちゃ寝してたらそりゃ太るか。
『ふんっ』
無理矢理留めて鏡を見るとパツンパツン。今日のお勤め終わったら新しいの新調しなくちゃ。
※※※
「じゃあ改めて紹介するよ。彼女はチェリー·シャネル。シェリーの双子の姉で先月の式で大魔法騎士に昇格した。とても若いが実力は確かだよ」
『宜しくお願い致します』
綺麗にお辞儀するその姿は流石シャネル家の令嬢。一挙一動が絵になる美しさ。
「彼等が今年の新人なんだけど皆優秀でね。特に彼、ウィリアムの魔法は珍しいし、とても頼りになるんだよ」
『へぇー』
興味ありげに真紅の瞳が覗き込んでくる。
『綺麗な顔してるのに仮面で隠すなんてとてもシャイなのね!魔導書は四つ葉かー!凄いね!』
「おいちょっと待てチェリー」
『何さ』
「お前人見知りどうした?」
『健在よ?だからと言ってツンケン出来ないでしょ?』
「お…おぅ…」
「姉君が成長してる…!」
シェリーのその茶化すような台詞にチェリーさんの鉄拳がめり込む。それによって壊れた壁や物を団長の時間魔法で修復。こんな使い方でいいのだろうか?
「チェリー」
『何?』
「君はもう大魔法騎士だ」
『………うん』
「団長への推薦が来てる」
一同「!?」
僕と一つしか変わらないのに既に大魔法騎士。そして団長への推薦が来てると言う事はとても凄い事。だけど彼女は顔色一つ変える事無く首を横に振る。
『この前もお伝えした通りアタシは支える側でありたい導く側は絶対に嫌』
一同「!」