第1章 Nice to meet you、Girl
生まれながらにして膨大な魔力。未熟児として産まれた姉君の身体にはキャパオーバーで魔力に飲まれていつ死ぬんじゃないかってのが毎日だった。
「あの日姉君の魔力が暴走してさ、それを助けたのがユリウス団長」
「「!」」
「色んな事情もあって姉君は人と接する機会が無かったから凄く人見知りでさ…まぁそんな事もありユリウス団長には懐いてるし、あの人も姉君の事気に入ってくれてるから」
勿論俺の事も気に入ってくれて可愛がってくれてるけど…姉君と比較されるのは嫌だし負けたくないし弟だけど長男としてのプライドが少なからずあるしユリウス団長のところも断った。
「仲…良く無い、のか?」
「仲?凄く良いけど?俺、姉君の事愛してるし」
だってあんなに可愛いんだよ?天使だよ?まぁ………たまーに怖いけど。
「フエゴと同じさ。弟だけど長男だから負けたくないって…」
『シェリー』
一同「!」
凛とした声がこの場の空気を固くする。
※※※
『ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。姉のチェリーです。愚弟がいつもお世話になっております』
「愚弟!?姉君酷い!」
小さな身体。綺麗なお辞儀。その小さな身体や可憐な容姿にそぐわない低めの凛とした声。シェリーは人見知り、と言っていたが、ちゃんと挨拶の出来る令嬢。
「お初にお目にかかります、フエゴレオンです」
『メレオレオナさんの弟君ですね、お話は伺っております』
「姉上をご存知…なのですか?」
『ええ、とても良くしていただいております』
今まで人目にかかった事が無い、と聞いていたのに何故と思ったがそれは口に出さない。
「んでこっちが…」
「ノゼルと申します」
『現、白銀の団長の長男さんですね、貴方の事もお話に聞いてます』
「………」
『お二人共何故って顔、なさってますね』
「「!」」
控えめに小さく笑うと真紅の目が私達を見る。
『一部の上級魔法騎士以上は五年前の事件の頃からお世話になってる方が多くて』
"(姉上/父)から何も聞いてない"
「色んな人からの教えと魔導書入手で漸く魔力抑える事が出来るようになったから漸く姿を出せる様になったって事。それまで機密だったんだよ、な?」
『煩い』
-げしっ-
「ごふっ」
「「!?」」