第1章 Nice to meet you、Girl
王族"シャネル"家。
類まれなる魔力と戦闘力に巡まれてるにも関わらず、それを鼻にかけないのが国民からの人気を得ていた。ただ、貴族同士の親交にはとても消極的で自分達の子供…特に娘に関しては馴染みの人達にすらその姿を見せる事は無かった。
噂では"大病を患っている"だとか"双子の弟と違って出来損ない"等と囁かれていたが、ある日その真相に迫ってシャネル家の弱点を掴もうとした一部の貴族達が様々なタイミングを見計らって当主や主力メンバーが出払ってる時にシャネル家を襲撃。
しかしその襲撃は屋敷にすら傷一つ付けられずにあっさりと失敗に終わり、その賊等を捕獲したのは僅か10歳の子供。ずっとその存在を隠されてた娘だった。中には上級魔法騎士も居たという。
あの事件のから五年後、魔導書を手に出来る歳。晴れて魔導書を手に出来た祝いにシャネル家が開いた茶会にて一部の人間には漸く紹介される。同年代より遥かに小さい身体。その天使の様な容姿に誰もが固唾を飲んだ事だろう。
※※※
「ま…なんて愛らしいお嬢さんなのかしら」
「将来有望だな…引く手あまただろう」
「何故今まで公にしなかったんだ?」
「愛らしいから民衆の目には触れさせたく無かったのだろう」
大人と言うのは実に勝手だ。真実を知りもしないで憶測だけの物言い。愛想笑いを浮かべて勝手にベラベラと。
「シェリー」
「おー、王族の長男坊がお揃いで」
「「お前もな」」
「で?何の用?」
自分より二つ三つ歳上の…既に凄腕魔法騎士となってる兄貴分的な存在の二人を見上げる。
「団には入るのか?」
「入らなきゃ親に殺される」
「どの団に?」
勧誘はそこそこ来てるけど、ぶっちゃけまだどの騎士団に入るかは決めてはいない。親の様に魔法帝直属になるのも悪くは無いが生憎俺は俺だ。親と同じは願い下げ。かと言って王直属も願い下げ。
「姉君はもう決まってるんだけどなー」
「「え」」
今日、初めて皆の前にその姿を見せたと言うのに?なんて顔をする二人を見て、まぁこの二人なら話しても問題無いか、と口を開く。
「五年前の事件、あっただろ?」
「あぁ…襲撃事件か」
「そうそう」
「貴様の姉が賊を捕獲したとは聞いている」
「その通り。姉君マジ強だから」