第5章 Welcome back、LittleLady
"道中に出会った回復魔道士にね"と付け足す。
「待てよ。早々に治ったって…ユリウスの旦那には便りを寄越してたって事か?シェリーには無いのに?」
「まぁ彼女も思う事があるんじゃないかな。詳しくは明日、本人に聞いてみるといいよ」
※※※
そして翌日。僕の隣でにこやかな笑みを浮かべるユリウス団長は若干額に汗をかいている。
「団長」
「あ、あぁ…三等中級魔法騎士への昇格おめでとう、ウィリアム」
「そうでは無くてですね…」
無理矢理微笑んでいるのだろうか、だんだんと笑顔が引きつって見える。昨日の話からするとシェリーのお姉さんが戻って来るのは今執り行われてる式の前だったハズ。だがそれらしき姿は見えない。
「…はぁ…」
「ユリウス団長!俺、四等上級魔法騎士に昇格しました!」
「あ、あぁ…おめでとう…」
「最後に」
一同「!?」
顔色が優れない団長が小さく溜息を吐く。出席しなかった場合の等級昇格はどうなるのだろうか。持ち越し?白紙?それとも何事も無い様に昇格するのだろうか。
「星取得数27」
一同「27!?」
「この一年、激化していたスペード王国とダイヤモンド王国からの侵略を受けていたハート王国を守り抜き敵を撤退への追い込み。強魔地帯の数多な魔宮攻略、敵国へ侵入しての情報収集」
-バタバタ-
「チェリー·シャネル」
一同「!?」
「え!?姉君!?」
-バァンッ-
一同「!?」
『ま…間に合、た…』
「大魔法騎士への昇格をここに」
一同「大魔法、騎士………」
『はい、有難う御座います』
綺麗な人だと思った。サラサラの髪の毛。白い肌。宝石の様な真紅の瞳。そして思う。似てない、と。
※※※
「今まで連絡ナシとかどーゆー事!?何してたの!?つーか呪詛はいつ治ったの!?いや待って聞きたい事多過ぎて俺が訳分からん!!」
「まぁまぁ…落ち着いたらどうだい?」
本当に訳が分からなくなって最早何を言ってるかも分からないシェリーを困った様に宥めるユリウス団長。マシンガントーク化してる質問攻めに最早双子であるアタシも分からない。
「脚の呪詛魔法は解けたのか!?」
『うん。旅に出て2~3日で。知らない回復魔道士のお婆ちゃんが治してくれた』