第5章 Welcome back、LittleLady
あれからどれくらいの月日が経っただろうか。既に一つ歳を取ったし新入団員も迎え入れたから一年は経過したのだろう。なのに姉君ときたら帰って来ないし便りすら寄越さない。両親も少々御立腹である。
「あーもー何やってんだあのお転婆姫さんめ…」
雌獅子といるから安心はしてるものの…だからこそ心配なんだよなぁ…フエゴも雌獅子から便りすら無いって言ってたし。俺の可愛い姉君が野生化してたらどうしよう…
-あーうー-
「………彼はいつも唸ってるね」
「あぁ…ありゃ病気みたいなもんだ。気にすんな」
「…病気?」
「アイツの双子のねーちゃんがさ、呪詛解除の旅ーとか行って出て行ったっきり、まだ戻ってなくて一年くらいか?便りすら無いらしい」
そうだよ。ホント便りの一つや二つは寄越してくれても良いと思うんだよなぁ。心配して待ってるこっちの身にもなれってんだ。
「はぁ…パトロールでも行ってくっかな」
※※※
「やぁ皆!朗報だよ」
といつもの調子で団のエントランスに入ってきたユリウスの旦那は周りを見回して首を捻る。
「あれ?二人だけかい?シェリーは?」
「パトロールに行くと言って先程出て行かれましたよ」
「ありゃー…朗報だったのに」
残念そうに肩を竦めると机の上に置いてあった新聞を手に取る。
「朗報…とは?」
「あぁ!なんだと思う?」
30過ぎたオッサンがニッコニコと悪戯っ子の様な笑みを浮かべる。いつもニッコニコしてるけどここまでのニッコニコ具合は見た事がねぇから俺達にとって相当な朗報なんだろう。特にシェリーを気にしてるみたいでシェリーが居ないって事に対しての落胆…つまりシェリーには絶対に聞かせたかった………シェリーが気にしてる事と言えば。
「チェリー関係か」
「えぇっ!?何で分かったの!?どうして!?」
「分かりやすいんだよオッサン」
「えー…そうかなぁ…」
うーん、と新聞を畳んで首を捻る。
「手紙によれば明日の式の前には戻って来るって」
「式の前?」
「うん、恐らく彼女も等級上がるしねー」
「………は?」
いやいや、待て。アネゴレオンとぶらり旅だろ?何で等級が上がるんだ?
「呪詛は解けたのか?」
「旅に出て直ぐに治して貰ったみたいだよ」