第4章 Steal my heart、Girl
『ごめ…ありがとう』
「すまない」
『え…』
アタシの身体を支える腕に力が入る。
『や…やだなぁ何で謝るの?さっきも言ったけどアレはアタシの落とし前…』
※※※
陶器の様な頬に手を滑らせて唇を塞ぐ。
『んぅ…』
服の裾を引っ張られて唇を離すと苦しそうに息を吸い込む。
『ちょ…と…何すん、の…』
その問いには答えずに意のままに噛み付く様に再び唇を奪う。僅かな隙間から舌を捩じ込んで逃げようとするチェリーの舌を絡めとる。
『ん…ふ、ぁ………』
顎を持ち上げ上を向かせて更に深く口付けると急にチェリーから力が抜ける。唇を離して支え直すと頬を赤く染めた顔を逸らしてか細い声を紡ぐ。
『あ…や、だ………腰、抜けた………』
「…っ!」
な ん な の だ !?
この愛くるしい生き物は。これ以上は非常に良くない。良くない、と頭では分かっているものの。
-ふわっ-
『え!?ちょっと!?』
腰の抜けたチェリーを横抱きに抱えてベットに下ろして自らも身を乗り出す。
『わ!わわ!?ちょちょちょ、ちょっと待って落ち着いて!?』
「落ち着いている」
ふとチェリーと視線が絡む。形のいい眉を下げて、まるで何かに耐える様に真紅の瞳が揺らぐ。目尻に溜まった涙が一粒零れて気付く。チェリーは怯えているのだと。それはそうだ。挑発してたと言えど見ず知らずの男に身ぐるみを剥がされたばかりだ。怖くないハズが無い。
「すまない…怯えさせるつもりは無かった」
『ちょ、待っ…』
軽く口付けを落として逃げるように病室を出る。
『この…馬鹿たれ!』
※※※
『呪詛を解く旅…?』
丸い目を更に丸くして小首を傾げる。うん、とっても可愛いよー!
「チェリーは呪詛が解けるのを待つより解く方法を探しに出る方が性に合ってるかと思ったんだが…」
『うん、いいよ』
「そうか…やはり貴様も時期当主…そう簡単に屋敷を空ける事は出来な………いいのか!?」
チェリーの了承の二つ返事に提案した張本人が驚いて聞き返す。
「でもチェリー、よーく考えてみるんだ。ヴァーミリオン家長女と一緒だよ?野性的だよ?僕は心配だなぁ…」