第4章 Steal my heart、Girl
『しまっ…力入りすぎた』
恐らくこれは…瞬殺。すぅ…と拘束していた鎖が消える。
「姉君!!!血が…!」
『平気。ごめんなさい、アタシが油断したせいで』
「「「!」」」
力無く困った様に微笑む姿にぎゅうっと何かが掴まれる。
『………やだ三人共なんて顔してんの?』
我々は何も出来なかった。拘束されて魔法も使えない中、自らの身を危険に晒して敵を仕留めたのは彼女。
『馬鹿だなぁ…アタシはアタシの落とし前を付けただけだっての』
気丈で明るいいつもの笑顔に何かが持って行かれた気がした。
※※※
「お前等…俺達が人員を連れて来る間に何があったんだ?」
頭が地面にめり込んでピクリとも動かない大男。大事な部分は隠れてはいるが服がボロボロに破れてあられのない姿のチェリー。白い太腿には引っ掻き傷の様に皮膚が抉れて鮮血が滴る。
「見せてみろ」
『ちょ…メレオさん!』
傷は浅いが出血量が異常に多い。恐らく呪詛魔法をかけられている。このまま血を垂れ流してたら血が足りなくなる。
「おい、空間魔道士共」
「「「はい」」」
「今すぐ魔法帝直属の回復魔道士の所へ空間を繋げろ」
一同「!?」
『え!?アタシ大丈夫ですよ!?』
「ならん。傷が残ったらどうする」
『………アタシ』
一同「?」
『メレオさんが男性だったら惚れてる…!』
一同「ぶふぉ!?」
「さっさと繋げんかぁ!!!」
「「「はいぃっ」」」
「後の事は貴様等に任せる」
私も男だったら間違いなくチェリーを選んで居ただろう。
※※※
『ったく…心配性だなぁ…』
傷は跡形もなく綺麗に消えた。ただ呪詛は死ぬ間際にかけられたものだから強いみたいでなかなか解けないらしい。暫くは脚の自由があまり効かないみたい。掴まれた手形に沿って赤黒くなった太腿を見る。
『うげ、気持ち悪い』
動けるのは動けるけど念の為、今晩は医務室で過ごす様に言われた。
-コンコン-
『…どうぞ?』
「魔導書を届けに来た」
あー、そう言えば預けたままだったっけ。ブックポーチに入った魔導書を受け取る為にベットから出ると足元がふらついて、転けそうになった所を支えてくれる。
「………無理をするな」