第4章 Steal my heart、Girl
「な…」
『まぁまぁ…逐一連絡の便りは寄越します。それに………』
「「それに?」」
昨日の今日でまだベットに座るチェリーは窓から空を見上げて少し悲しそうに微笑む。
『多分…アタシが居たら………皆…特にシェリーは成長しないんじゃないかなって。自惚れかもしれないけど』
「チェリー、君はどんな魔道士になりたいんだい?」
『アタシは…この国の為に奔走する皆の支えになれる魔道士でありたい』
「僕が思うに…君は先導者の方が向いてると思うんだけどなぁ」
そう伝えると少し目を見開いて小さく笑う。
『恐縮です』
※※※
「いやいやいやいや!ちょっと待って姉君!!それおかしいだろ!?」
『どうして?父上と母上にはちゃんと承諾を得たけど?』
「なんだ…親父と御袋には承諾を………って違ーうっ!」
勢い良く肩を掴まれて激しく揺さぶられる。
『大丈夫よ、呪詛魔法が解けたらすぐ戻るから』
まぁ解けるのがいつになるかは分からないけど。明日かも知れないし一週間後かも知れない。一ヶ月後かも知れないし一年…いや、もっとかかるかも知れない………と思ったところであの程度の魔道士の呪詛だから一ヶ月もかからない気がするけど。
「あの雌獅子は野生児だぞ!?獣だぞ!?姉君はお姫様なんだよ!?」
『それ言うとメレオさんもあんなんだけどお姫様よ?』
「あれは姫じゃねぇ!!!」
そんな剣幕で言わなくても。
『兎も角、鍛錬がてらでもあるし行ってくる』
「鍛錬ってこれ以上強くなってどうすんの!?」
『守られるだけの女なんて流行らないのよ』
「でも…俺………姉君が居ないと………」
唇を噛み締めて目を伏せる愚弟のみぞおちに一発入れる。
「つっ!?」
『弱い男は嫌い。例え弟だとしても』
「………」
『小さい時、言ってたよね』
"姉君の事は僕がずーっと守るよ!"
だからと言ってアタシは守られる様な弱い存在では有りたくないし、自分より弱い人に守ってもらうのは御免だ。
『どのくらいで帰ってくるかは分からないけど…ちょっとくらい成長しててよ。アタシを落胆させないで』
「………厳しいなぁ…」
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(次のページに双子の紹介有り)