第3章 Please kiss me、Girl
「少し見ない間に成長したな!チェリー」
-わしゃわしゃ-
『ちょ、待っ…メレオさん痛いです』
この雌獅子も乱暴。姉君はテメェら脳筋と違ってか弱いんだよぉぉおおお!!!
「「何か言ったか?」」
「いえ何も」
この中で一番歳下だし最弱だから逆らえない。
「しかし広いな」
「この天空島一帯が魔宮と考えられるな」
「入口は丁度六つか」
「じゃあバラけるか。誰が一番最初に宝物庫に辿り着くか勝負な」
「貴様等双子は魔宮は初めてか?」
『「はい」』
「気を付けろよ。魔宮は罠だらけだ」
そんな所に新人を二人も連れて来るとかどう言う事なんだ、とは言える筈も無く。右から雌獅子、フエゴ、ヤミ、チェリー、俺、ノゼルと並んでそれぞれ魔宮に足を踏み入れる。
※※※
『貴方…スペード王国の人でしょ?何人ぐらいで来てるの?』
魔宮に突入して早々。小さな部屋に入ったら奇襲に合う。此処に居る事が既にそこそこの魔道士じゃないと入れないしクローバー王国からはアタシ達しか来てないハズ。となるとこの人は国境に位置するスペード王国の魔道士としか言えない。
『っと言っても喋れないか』
「………」
首根っこを掴みながら大きな身体を引き摺る。時折発動する罠魔法を潜り抜けて引き摺ってる男の顔を覗き込む。
青白くなった肌。血色の悪い紫色の唇。小刻みに震える身体。低体温症危険度レベル3ってところかな。体温は30度から25度。これ以上下げると死んじゃうなぁ。
『アタシ達意外に…30人くらいかな』
「………!」
『あ、まだ意識あるんだ。こんな所に来るだけあってただの雑魚では無いって事だねー。まぁ動けないとは思うけど無理しない方がいいよ。まだ…死にたくないでしょ?』
「………っ」
にしても凄い数の罠魔法。最早こんなにも罠を張る事が面倒な様な気がするけど…
『!』
別れ道、か。確か右隣がヤミ…左隣がシェリーだったかな。でもどっちからも知ってる魔力は感じないし…大体こーゆー別れ道があって迷うと左を選ぶのが人間の本能。つまり左側には罠が多いと見て。
『右かな』
そもそも罠の数で考えたらダメなのよね。誰が一番早く宝物庫とやらに到着するかの勝負してるんだし。つまり罠が多い方が…