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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第1章 不穏な出会いと、その後で


「貴方の境遇をとやかく言うつもりはないが、サユリはサユリの意志でスケートの道を行くと決めたんだ。そんなサユリの決断に、貴方が口を挟む余地などない」
「…ん?」
「お、おい、オタベック」
普段は暴走しがちな自分を諌める側に回る友人のらしくない様子に、ユーリは慌てて声を掛ける。
「いいっていいって、続けなよ。へぇ…」
しかし、言われた守道の方は、明らかにそんなオタベックを楽しんでいるようで、口元に薄っすら笑みを浮かべていた。
「何がおかしい」
「あ、いや。結果に対する単なる愚痴だって言ったのに、いちいちムキになってる君が面白くてさ」
「な…」
「それに、純先輩と直接関わりのあるユリオくんが言うならともかく、何で君が突っかかってくるのかなって」
平然とした態度を崩さない守道の問いに、オタベックは一瞬だけ口ごもる。
「もしかして、君も純先輩が気になる口?年下殺しだからなあ、あの人は…でも、止めときな。『君じゃ、アノ人の相手ハ務まらナイよ』」
ロシア語の後で付け加えられたカザフ語での揶揄に、オタベックの頬に薄っすらと怒りその他による赤みが差した。
まるで自分だけでなく、『サユリ』まで侮辱されたような気持ちになったオタベックは、思わず拳を握りしめたが、直後守道の悲鳴を聞いて我に返った。
「いでででで!先輩、ギブギブ!マジで勘弁して下さい!」
「何下らん真似しとんねん、あ?」
いつの間にか守道の背後に立っていた純が、彼の腕の痛点に親指を食い込ませていたのである。
余りにも情けない声に怒りも忘れたオタベックは、1つだけ深く息を吐くと守道から背を向けた。
ひとまず場が収まった事に安堵したユーリは、無意識に純の傍に駆け寄る。
「サユリ、」
「大丈夫や、守道の減らず口はいつもの事やから。ホンマに、ちょっと気に入ったコや好みのコをからかうクセ、昔からちっとも変わってへん…」
純の口中で呟かれた語尾は、今度はユーリに聞かれる事なく流された。

『今まで悪かったな』
傍若無人を絵に描いたような悪童だったユーリから、ある日電話越しの謝罪を受けたオタベックは、いたく驚くと同時に、彼がそこまでに至った経緯を聞くと、ユーリが変わる切欠を作った純に興味が湧いた。
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