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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第1章 不穏な出会いと、その後で


ただ、ユーリが純の話題を出す際あだ名の『サユリ』で呼んでいた事から、オタベックは、ユーリには『サユリ』という名の年上の恋人が出来たのかと勘違いをし、後日ユーリの紹介で対面した時には、挨拶よりも先に「え?」という間抜けな疑問詞が出た。
だが、実際に純に会ったオタベックは、彼のスキルや人となりに、スケーターだけではなく1人の人間として惹かれていたのも事実だったのだ。

何事もなかったかのようにユーリや純と会話をする守道を、横目で忌々しげに視線を送った後、オタベックは折角観光名所でもある公園に来たのだからと、持参したデジカメを構えた。
気に入った景色を何枚か収めると、ユーリ達の事も撮ろうと身体の向きを変える。
すると、
「良いカメラ使ってるじゃないか」
「っ!?」
いつの間にいたのか、直ぐ近くで守道が、オタベックのカメラをしげしげと見つめてきた。
「そこまで警戒しなくても、いじめたりしないから安心しなよ」
「…別に警戒などしていない」
「そう?でも、外国の人が、日本のこのブランドのカメラ使ってるの見ると、嬉しくなるな。君が使うにしては、ちょっと古いタイプだと思うけど」
「判るのか?」
「高校の時写真部だったからね」
「触っても良い?」と、守道は、かつて無造作に持ち上げようとしてオタベックに怒られたユーリとは対照的な手付きで、彼のカメラの感触を確かめる。
「この会社のカメラは、特に風景を撮るにはもってこいだ。それに、良く使い込まれてる」
「15の時に、叔父のお下がりを貰ったんだ。叔父もカメラが趣味だから」
「君の叔父さんは、中々の審美眼の持ち主だ」
愛用のカメラを褒められて、流石のオタベックも悪い気はしなかったので、守道に暫くカメラを貸すと、早速慣れた仕草で撮影を始める彼を眺めた。
先程までの皮肉げな眼差しとはまるで異なる、何処か少年のような表情でファインダーを覗き込んでいる守道に、「いつもそんな顔をしてれば良いのに」と漠然と考えながら、初夏の心地好い風に当たっていた。

ユーリ達と別れ滞在先に戻ったオタベックは、撮った写真を確認しようとカメラを起動する。
その時、守道の撮影による画像を見つけたオタベックは、事の外リラックスした自分の姿に、何とも言えない顔をした。
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