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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第1章 不穏な出会いと、その後で


「センセー、こいつは俺のダチのオタベックだ。前にも話した事あるだろ?」
成長期を経て今では友人よりも長身になったユーリが、得意げな顔でオタベックの腕を取る。
「君がそうか。『はじめまして、ワタシハ篠守道でス』」
多少ぎこちないものの、守道の口から出た言葉に、オタベックは目を丸くさせた。
「カザフ語が判るのか?」
「少しだけね。同級生にカザフからの留学生もいるし。でも言語関連なら、そこにちょっと聞いただけで、大抵の国の言葉を瞬時に理解するバケモノがいるよ」
「…誰がバケモノやねん。それに、僕がいけるんは会話だけで、勉強してへん言語を読むのは流石に無理や」
「サユリ、マジで半端ねぇもんな」
ふとオタベックは、守道に挨拶を返し忘れていた事に気付いたが、守道は構わず歩き始めていた。

昼食を取ってから近くの公園まで移動した4人は、思い思いの話をしながら午後のひと時を過ごしていた。
「こうした公園は綺麗に整備されてるけど、たまにロシアって、小さな公園や広場とかにとんでもないオブジェや遊具置いてあるよね」
「単に、国や文化の違いだけとは思えん『子供が泣くで』的シロモノとかな」
「き、きっとミニマリスト向けの厳選遊具なんだよ!多分!」
「いや、どう見てもこれは設計ミスとしか…」
オタベックが、首を傾げながらスマホで検索した画像を見せると、一同は笑い声を上げる。
その内に喉が渇いてきたので、純から紙幣を受け取ったユーリは、オタベックを連れて売店へと向かった。
背中越しに視線をやったオタベックは、守道が、純と距離を詰めて親しげに話している様子を見て、少しだけ眉を顰めた。
「…彼は、随分とサユリに馴れ馴れしいようだが」
「センセーは、サユリの大学時代の後輩なんだよ。俺がセンセーに日本語習ってんのも、サユリの紹介があったからだし」
オタベックの質問に答えながら、ふとユーリはいつか守道と会った時に、彼が自身や純の現状に折り合いをつけるような発言をした後で、彼の口から呟かれた日本語を思い出す。
『あの人がスケートの世界に戻ったのは、きっと結果オーライだったんだろう。でも…その代わりに、俺はあの人を失った』
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