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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第1章 不穏な出会いと、その後で


新たなシーズンを前に、拠点を再び長谷津に移す事にした勝生勇利と、彼のコーチで昨シーズンの世界選手権をもって現役を引退したヴィクトル・ニキフォロフは、漸くロシアでの諸々の手続きその他を済ませ、日本へと旅立った。

今季も勇利のEXの振付をする為にロシアを訪れていた上林純は、そんな勇利達から帰国を数日遅らせ、ユーリ・プリセツキーとの待ち合わせ場所へ向かっていた。
ピーテルには、純の大学時代の後輩である守道が留学しているので、日本に戻る前に会っておこうと思い、また、守道から日本語を習っているユーリも「俺もセンセーに会いたい」と言うので、一緒に行く事にしたのだ。
「サユリ!」
今もなお、スケオタやファンの間で純の代名詞とも呼ばれる演目から、純をそのように呼ぶユーリは、彼の姿が見えると嬉しそうに手を振った。
「お待たせ、ユリオく…ん?」
「久しぶりだな、サユリ。元気そうで何よりだ」
そんなユーリの横から、彼の友人である『カザフの英雄』オタベック・アルティンが、その瞳を僅かに細めてきた。
「オタベックは、昨日ピーテルに着いたんだってよ」
「今季のFSを、バラノフスカヤ女史の知人の振付師に依頼しているのでな」
「そんで今日の事話したら、オタベックもサユリに会いたいって言うから、連れてきたんだ。別に良いよな?」
「アイツはそんなん気にする奴と違うから、大丈夫や思うで」
するとその時、
「随分と若い子侍らせてるじゃないですか、純先輩」
「守道?」
「センセー!」
何処か人を喰ったようなバリトンの日本語に、純とユーリは声のした方を向いた。
純より僅かに背が高く、焦げ茶の髪と瞳をした守道は、彼らの反応を見て面白そうに口元を綻ばせる。
「おぅ、ユリオくん。俺が出した宿題は終わったかい?」
「ぅ…き、今日はレッスンじゃねーからいいだろ?今度会う時までにはやっとくから!」
「純先輩は、随分痩せたんじゃないですか?」
「あの頃は怪我してやさぐれとったから、僕史上で最大重量やっただけや」
「それでも、一般人からすれば充分細かったですけどね」
そんな軽口を叩いた後で、守道は初めて見る青年の姿を視界に捉えた。
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