第17章 演練
「あ…主…? 友達はちゃんと選んだ方が…。っていうか、え?? もしかして…と、友達がいないとか言わないよね……??」
「いない!!」
「「「「「「 えっ 」」」」」」
また一層と辺りが静まりかえった。
「そ…そう言えば主さんから友達の話一回も聞いたことないな~って思っていたけど…」
「そういう事だったんだね…本丸の皆には黙っていてあげようか」
「声を潜めても聞こえているしそのような気遣いは無用だ」
気遣いが逆に刺さる。何か、心に。
「な…なに、それ……、尊い……」
「おい主!? しっかりしろ!!??」
サニーちゃんはそう言って、ガクッと頭を垂れた。
尊い、とはどういう意味なのか…??
それは分からなかったが、地に倒れたサニーちゃんの指先からまるでダイイングメッセージのように血で『友達よろしくお願いいたします』と書かれていた。
「や、やった……、わ、私にも友達が出来たぞ!!」
「こいつは驚きだな!!」
「アンタにしては良くやった方じゃないか?」
「良かったね主、今夜は祝い御前を作ろうか♪」
「じゃあ僕はお赤飯作りますね!!」
「ねぇねぇ記念にボクが写真を撮ってあげる~♡」
「はっはっは、よきかなよきかな」
「ちょっと。誰かツッコミ連れて来て。俺だけじゃ捌き切れないんですけど??」
清光くんがこめかみを抑えながら眉間にシワを寄せていると、ピンポンパンポーン♪とチャイムが鳴り響いた。
それは、我々の部隊を呼び出すもので。
先程までリラックスしていた皆の顔が引き締まった。
「主、俺達の出番みたい」
「あぁ。そのようだな…。さて、行くか」
踵を返し颯爽と歩いて行くと。急に腕を掴まれる。
「…待って主。そこ、出陣する奴の入口だからね!?」
「ん?? 今から出陣だろう??」
「いやいやいやいや、主は出陣出来ないから!!!!!」
「なっ…!? 何故だ!!??」
「普通はそうなの!!!!!」