第17章 演練
「なぁ今そっちの俺に失礼な事思って無かったか?」
「……いえ、何も」
「そんなに全力で顔を背けたらバレバレだぞ、主」
「三日月殿、余計な事を言わないで頂きたい」
そんなやり取りをしていると、うちの刀剣男士達が戻って来た。
「主、他本丸の審神者と何喋ってたの~?」
「あぁ、つい先程声を掛けてくれて…」
「どうも~♡ 私の事は、サニーちゃんって呼んでね♡」
彼女はとびっきりの笑顔で挨拶してくれた。
そして、私の編成を見るなり、もしかして…と続ける。
「もしかして、最近審神者になった感じ?」
「あぁ。審神者になって2か月ちょっとくらいだろうか…?」
「は? それでもう三日月がいるとか何? チート過ぎない?? なに?? 課金?? 廃課金??」
「ちーと……?? はいかきん…??」
聞き慣れない言葉に首を傾げていると、サニーちゃんはおもむろに天を仰ぎ叫んだ。
「私なんて!!! 三日月様が来てくれなさ過ぎて詰んでシールに縋ったというのに!! 何!? 美人補正!? でもそんな美人好き!!!!!」
「主、あの人危ないから。何か危険だからどっか違う所行こ」
「はぁ……」
「待ってぇぇぇぇぇ私から美人を奪わないでぇぇぇぇ!!!!!」
サニーちゃんは自分の近侍の極鶴丸くんに取り押さえられながらも必死で私に手を伸ばしていた。
私はというと。清光くんと堀川くんに手を引かれ、その場から離れようとしていた。
「うぅぅぅ、お願い、私と友達になってぇぇぇぇ」
サニーちゃんのその言葉に、私は歩みを止める。
「主…?」
「い、今…と…友達になってって…」
「主さん?」
私はサニーちゃんの方に向き直り、ゴクリと喉を鳴らした。
そしてサニーちゃんに向けて歩を進める。
「え、ちょ、主…??」
「わ…私でも!! と、友達になれるのだろうか…っ///」
精一杯の勇気を振り絞り、言った。
私の心はドキドキと高鳴っていた。
…が、何故か辺りはシーン…と静まりかえった。