第17章 演練
「ねぇ主、俺達、演練の受付の手続きしてくるからさ。大人しくここで待っててよね」
「それは私も行った方が良いのでは…」
「大丈夫、俺達だけでも受け付け出来るからさ。この辺、もう少し見たいんでしょ?」
完全に見透かされていた。
流石は初期刀…。
「そんじゃ、行くかね。三日月、主のこと頼んだぜ」
「うむ。心得た」
鶴丸くんは三日月殿にウインクをし、三日月殿はしっかりと頷いていた。
この二振りは同じ平安時代の刀という。新選組の刀達のように、信頼が厚いのだろうな。
そう、微笑ましく見ていると。
「さて主よ、あそこに美味い茶を出す甘味処があるのだが…」
「今さっきここで待つように言われたが?」
鶴丸くんにもしかと頷いていなかったか??と問えば
まぁ、大丈夫だろうとあっけらかんと笑う三日月殿。
信頼……とは。
私は軽く頭を抱えた。
そんな時。
「わぁぁぁぁぁ、凄い!! 巫女さんだぁぁぁぁ!! ねぇコレ本物!? それともコスプレ!?」
女子高校のような恰好をした、アイドルみたいに可愛い女の子が、こっちに走って来た。
「えぇと…」
こちらに来てキラキラと目を輝かせる女の子。
小さい。可愛い。
そして距離が近い。
「ほ…本物、だが……」
「本物の巫女さんなの!? 凄~い本物の巫女さん初めてみた~♡」
笑った顔も可愛い。…じゃなくて。
さ、最近の女子高生はこの距離が普通なのだろうか…。
いや私も年齢的には同じくらいなのだが…。
混乱していると、恐らく彼女の近侍だろうか。
見た事の無い衣装に身を包んだ鶴丸くんが、この可愛い女の子を私から引っぺがした。
「こら、相手が困ってるだろう?」
「ごめんなさーい♡ でも!! だって本物の巫女さんだよ!? しかもこんなに美人なんだよ~!? むしろ抱き着こうとする衝動を必死に抑えた私を褒めて欲しい!!」
「あのなぁ…。すまんな、そちらの審神者さん、ウチの主は綺麗な女性を見るとすぐにこうなるんだ」
やれやれ、と言わんばかりに、あちらの鶴丸くんはそう話す。
恐らく、彼も極、というものなんだろう。
落ち着いている…。あの鶴丸くんがこんなにも落ち着いているなんて…!!!
凄いな…極……(失礼)