第16章 報告(後編) (☆)
「しかし、その間アンタは…」
「心配いらないよ。審神者の彼女には、近くの別室でお茶でもして待っていて貰うから。とっておきの茶葉があるんだ♪」
「それは楽しみだな」
何かを訴えるような山姥切くんの視線を感じながらも
山姥切くんを水心子くんに任せ、私は源くんに部屋まで案内して貰った。
「どうぞ」
扉を開けて貰い、部屋に入る。
こちらの部屋も小さいながら、とても綺麗な内装だった。
大きなソファーに促されて腰掛けると、こちらのソファーも魅惑の座り心地だった。
私の執務室にも、置こうかな、ソファー…。
和室にはとても似つかわしくないが、この座り心地はクセになりそうだ…。
「気に入ってくれたみたいだね、その椅子…えっと、そふぁー、だっけ」
「うむ。私も今日初めて座ったのだが、いいな、この座り心地…♪」
「懐かしいなぁ、水心子も初めて座った時、君と同じような顔してたよ」
ふふっ、と。とても楽しそうに笑う源くん。
「源くんと水心子くんは仲が良いのだな」
「僕の事は清磨でいいよ。うん、水心子とは親友なんだ」
嬉しそうな声色でそう言いながら、はい、と茶請けの美味しそうなお菓子を出してくれた。
そして、今お茶を淹れるから楽にしててね、と軽い足取りで茶器のところまで行ってしまった。
「……いい香りだな」
「うん。きっと…気に入ってくれると思うよ」
それから私たちは、お茶と何気ない話を楽しんだ。
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「……そろそろ、効いてきたかな?」
目の前の彼女は、ふっ、ふっ…と短い呼吸を繰り返す。
顔は赤らみ、瞳は潤み。でも常人に比べたら効きが悪い…
いや、流石の精神力とでもいうのかな。
「先程の…お茶に……?」
「うん。即効性の媚薬をね」
「な、ぜ……」
「……ごめんね、こんなこと、水心子に見られたくないから……さっさと終わらせたいんだ」
帽子と外套を脱いで彼女の傍へ行き、陶器のような頬にそっと触れれば、びくっと全身を震わせる。
そろそろ、いいかな。
媚薬でフラフラな彼女を押し倒すのは、簡単だった。