第15章 報告(前編)
「い…石切丸殿は、霊力増大につき、私の未熟な身体が追い付かなかったから特殊な変化が起きたのではないか、と言っていたな…」
「霊力増大って、俺との…アレ?」
「………面と向かって言わないでくれるか…。流石に、その。恥ずかしいので…」
「ふふっ、そっか♡」
清光くんの機嫌が良くなった。
鼻歌まで歌っている。
い…言えない……。
そのあと、安定くんともしました、だなんて清光くんには絶対に言えない……!!!
「主、こんな感じでどう? 流石に俺と性交したからなんて書いたら主も恥ずかしがるかな~って思って、石切丸の言葉を借りて書いたんだけど…」
「せ…性交(小声)、だなんてハッキリ言うな///」
「なに? またシたくなった? 今夜…する…?」
「ばっっっ馬鹿を言うでない///」
この初期刀、心臓に悪い。
「ま、無理矢理襲ったりしないから安心してよ。それより、報告書も出来たことだし、政府に電話しなきゃね」
清光くんは慣れた手つきで電話を繋いで、話を聞いてくれていた。
そんな時、彼の表情が曇り、え…?と口にした。
「山姥切と主の二人で今から政府まで持って来い……?」
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「何故、俺なんだ……」
「政府側からの指定らしい」
「何故だ…俺が写しだからか…?」
「それは関係ないと思うが」
「……待て。そっちじゃない。道が分からないのに自信満々に歩き出すんじゃない!!」
「おろ?」
山姥切くんは何かを諦めたように、前に出て。
ついてこい、と一言発し、歩き出した。
「…ここが、時の政府……」
「アンタは初めてだったな」
「あ…あぁ…」
「…どうした?」
初めて来たハズなのに。
何故か、見覚えがあるような……?
「…アンタ、前にも似たような事を言っていたな。桜の樹で…」
「そうだな。あの時の感覚に似ている…。何か、大事なことな気がするが…思い、出せない……」
思い出そうとすると、何だか……
「そのうち、思い出せばいい」
山姥切くんはそう言って、伏せた私の頭を軽く撫でた。