第14章 こどもの日
「ねぇ主、少し仮眠して来たら?」
「いや、しかし…」
「今日は俺が近侍でしょ? 溜まってた書類、やっとくからさ♪」
「そ、それでは清光くんが…」
「いーの。主、自分で気付いてないっぽいけどさ、ちょっと顔色悪いよ? 少し休まないと、皆心配しちゃうでしょー?」
「なっ…顔色が……?」
言われてみれば、少しボーっとするような…?
と考えていたら清光くんに手を引かれ寝室まで連行された。
一眠りするまで外出禁止!!と念を押され、襖を閉められる。
参ったな…。自己管理も出来ていないだなんて。
しかし本当に、身体がおかしくなってきた。
身体も熱くなって来たな…熱でも出したのだろうか…?
自分の体調管理の甘さを情けなく思いながら、布団を敷き一眠りする事にした。
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夢を見た。
あれは…いつの日だったか。
『ほら、鯉のぼりだぞ~♪』
『わぁぁぁぁ、兄様凄いです!!』
小さくて、形のいびつな手作りの鯉のぼり。
今日はこどもの日だからな、と私の頭を撫でて笑う兄様。
私が5歳くらいの時だったかな…?
幸せな思い出。
あぁ、兄様…、例え夢でも、お会い出来て嬉しいです。
例え夢でも…
たとえ、ゆめでも………
「………夢………」
目が覚めて、身体を起こす。
眠たい目を擦り、ふと、自分の手を見る。
あれ…? 私の手はこんなに小さかっただろうか…?
…と、いうか。
着物も、どうしてぶかぶかなのだろう…??
もぞもぞと布団を出て、姿見を見ると…。
まるで5歳児のような姿形の自分が映っていた。
「……夢か」
思考をやめて、布団に戻ろうとすると。
「主~、入るよ~。そろそろ夕餉の時間だけど起きれ……」
「……清光くん」
「は…はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
清光くんの叫び声により、全員が集まる事となってしまった。