第14章 こどもの日
先程の、安定くんとの……その。
情事のお陰だろうか…。
霊力の高まりを感じる。
石切丸殿の言っていたのは、この感じなのだろう。
今の私にはわかるぞ…!!
今なら…素晴らしい鍛刀が出来そうだ…!!
「あ! 主さ~ん♪」
「やぁ乱くん」
「主さんは何処に行くの?」
「今から鍛刀に行こうと思ってな」
「あ、じゃあボクも行っていい!?」
目をキラキラ輝かせて、乱くんは付いて来てくれた。
向かう途中、今日はこどもの日だね~、と。
だから今日は主さんの事お祝いしなきゃね♪と乱くんは楽しそうに話してくれた。
見た目は乱くんの方が確実に子供なので忘れてしまいそうになるが、彼も永きを生きる付喪神。
こんな可愛い子なのに、私の方がずっと子供というのがやけに可笑しくて。
少し笑いながら、ありがとうと伝えた。
私はもう子供ではないのだが、彼の好意を無下にするのも忍びないので。
「今日は誰が来てくれるかな~♪」
「ふふ、今日は調子が良いからな、期待していてくれ♪」
資材を入れて、現れたのは。
「う…うそ………、い…いち兄ぃぃぃぃ~!!!!!」
一期一振、顕現。
「全く驚いたぜ。まさかこんなに早くいち兄が来てくれるなんてな」
「私も驚いているよ薬研。主に感謝ですな」
「うんうん!! 主さんありがとう♪」
「私も、乱くんや薬研くんの嬉しそうな顔を見られて良かった。今日は3振りでゆっくり過ごすと良い」
「本当に…感謝します、主」
仲睦まじい兄弟だな、彼らは。
嬉しそうな顔を見ていると、こちらまで嬉しくなる。
それにしても、兄…か。
一期一振殿を見ていると、兄様を思い出してしまう。
性格や容姿は全く似てはいないのだが(笑)
私の兄様には、お世辞にもあのような気品は無い。
しかし、一期一振殿が乱くんや薬研くんを見るあの眼差しは…兄様とよく似ていた。
「お、主聞いたよ、一期一振が来たんだって?」
「あぁ清光くん。うむ、先程鍛刀でな」
「凄いじゃん……って、どうしたの主? 何かあった?」
流石、清光くん。鋭い。
「あぁ、いや…。仲の良い兄弟だな、って…」
「…そっか。あの人の事、思い出してたんだ」
やはり、鋭い。