第2章 初期刀
その夜
「加州くん、少し、良いだろうか?」
「はぁ? こんな時間に何?」
「開けるぞ」
「ちょっ!? ちょっと!? アンタ何やってんの!?」
「何って…」
加州くんが敷いてあるお布団の隣に、部屋から持参した布団をバサッと敷いた。
「どうだ? 今夜は一緒に寝ないか?」
「アンタ、馬鹿なの?」
「まぁまぁ」
「ちょっ、いいなんて言ってないでしょ!!」
「まぁまぁ。」
「~っ、あのねぇ! アンタ分かってんの!? 俺は男なんですけど!??」
「ん? 知っているが??」
「帰れ!!」
「まぁそう言うな。こうやって誰かと一緒に過ごすのが10年振りでな…。懐かしくなってしまったんだ」
「…は?」
やれやれと諦めた様子の加州くんは、反対側を向いて、布団の中へ戻った。
「…アンタ、両親は?」
「さぁ? 物心ついた時から、兄様とおばあ様が私の親代わりだった。そんな兄様も、10年前…私が8歳の時に家を出て、その後すぐに、おばあ様も亡くなってしまってな」
「……なに、それ。8歳のクセに、それからどうやって生きて来たの?」
「家事はおばあ様に習っていたから、生きていく上で不自由は無かったな。お金は、兄様が仕送りしてくれていたから」
「あぁ、そういえば主、そんな事してたっけ」
「…加州くんに、御礼を言いたかったんだ」
「御礼?」
気になってか、チラッとこっちを見てくれた加州くん。
「最初に私に言っただろう? ”俺の主はあの人だけ”だと。あれが嬉しかったんだ」
「はぁ!? 普通嫌がるでしょそんな事言われたら!!」
「そうか? 私は嬉しかった。それだけ、兄様を愛してくれていたんだろう?」
「なっ!?///」
「ありがとう。兄様を愛してくれて」
「ば…ばっかじゃないの!? よくそんな恥ずかしいセリフ言えるよね!!///」
また勢いよく背を向けられてしまったが、なんとなく照れているかのような声色だった。
「…10年…寂しかった…? 一人で…」
「そう、だな…寂しくないと言えば嘘に、なる、かな」
「…そうだよな…」
「それより、聞かせてくれないか? ここでの兄様はどんな風に過ごしていたのか。私の知らない兄様を知りたいんだ」
「…全く、仕方ないなぁ…」
相変わらず背を向けられたままだったが
兄様について話してくれた